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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第79話:中小企業がAI時代に勝ち抜くためのアナログ戦略

 

2018年もあと2か月で幕を閉じます。リーマンショックからちょうど10年ですが、この10年はインターネットとスマートフォンが産業を大きく変えてきました。その変遷を振り返ると隔世の感があります。

 

そしてこれからの10年は、人工知能(AI)とブロックチェーンが、ビジネス、そして社会を大きく変えていくことは間違いないでしょう。「AIなんて使えない」「普及は限定的だ」といった意見も出てはいますが、インターネットもそれが普及し始めた90年代には同じようなことが言われていました。ところがいまやインターネットやIOTを抜きにビジネスは語れない時代になっています。

 

AIの普及は遠い未来の話ではなく、我々の日常にもすでに浸透してきています。たとえばUBERでは配車管理をAIが行っており、そのAIの指示で人間が現場を担うという構図になっています。

 

そのUBERと提携する日本のタクシー会社も出てきましたし、ソニーも複数のタクシー会社と組んで配車AIの開発を進めています。

 

IT業界に限らず、ほぼあらゆる業界でインターネットが活用されるように、AIも今後は様々な業種・業界で活用されることになるでしょう。

 

中小企業が自社でAIを開発することはハードルが高いでしょうから、その活用方法としてはタクシー会社のようにAI開発企業と組むか、市販のAIパッケージやアプリを活用するということになるとは思いますが、とにかく、中小企業にとってもAI活用は当たり前のことになっていくと思われます。

 

そこで中小企業の経営者に必要となるのが、「AI時代を見据えた自社の強みづくり」を考えることです。

 

これは「AIをどう活用するか」という話ではありません。もちろんそれはそれで大事ですが、それよりも経営者が考えていくべきは、AI活用が当たり前になったときに「AIでカバーできない部分でいかに自社の強みをつくるか」ということです。

 

つまりこういうことです。

 

タクシー業界でいうと、数年以内にどの会社も人工知能による配車サービスを使うようになるでしょう。そうすると、今までのように「いつどこに車を流して乗客をつかまえるか」という競争ではなくなり、いかにして乗客にとって「呼びたいタクシー会社」になるかという競争になるということです。

 

京都出身の私が一番に思い浮かべるタクシー会社といえば、MKタクシーです。同社では運転手が車の外に立って乗客を出迎え、手でドアを開けるといった、まるでハイヤーのような接客を実施しています。そのような接客に慣れている私にとって、大きな荷物を持っていても運転手が車から降りてこない東京のタクシー会社は「三流以下」となります。

 

まあ、これはAI云々という話でもなく、サービス意識のないタクシー会社などそのうち淘汰されるとは思いますが、来るAI時代には、温かみのある接客といった、AIには担えない部分が勝負の要素になるということです。

 

これからの時代は、接客だけではなく、顧客に最適な商品の選定、商品の使用方法・活用方法の指導、提案営業、現場サポート、各種相談、コンサルティング…といった、自動的には判断がつかない、人の判断や対応が必要となるようなサービスが差別化の決め手となります。

 

デジタル時代だからこそ、アナログ的なサービスが際立つということです。

 

ここで経営者が認識すべきポイントが2つあります。

 

ひとつは、自社がどんな業種業態であれ、自社をサービス業と捉えるということです。

 

これは前回のコラムでもお伝えしましたが、トヨタが「車をつくる会社からモビリティ・カンパニーへの転換」を打ち出したように、自社の事業の定義の抽象度を上げて考えるということになります。

 

先ほどのタクシー会社の例でいうと、関東の(というか、全国のほとんどの)タクシー会社は自社の定義を単に「乗客を目的地まで届ける」と捉えているから最低限の接客しかしない。一方でMKタクシーは自社のやっていることを「最高の乗車体験を提供する」と捉えているから、乗客の喜ぶことは何かと考える。

 

このように、自社をサービス業と捉えると、アナログ的な面を打ち出す余地も広がります。

 

もうひとつのポイントは、そういったアナログ的な強みを特定の社員ではなく会社としての強みとするということです。

 

またタクシーの例になりますが、たまたま今日乗ったタクシーの運転手の接客が良くても、次が駄目だったらかえって悪い印象となってしまいますし、そもそも一部の社員だけができることであれば、会社としての強みとして定着してはいきません。

 

単純化しにくいアナログ的サービスだからこそ、それをノウハウ化・手順化して他の社員に移植することができれば、これは会社にとって強力な差別化要素となります。

 

しかしながら、この移植作業は当然ながら社員任せでは進みません。なぜなら、それができる社員は自分のライバルに自分の強みを授ける動機はありませんし、かつ自分ができることを他人に教えられるようなレベルにまで客観視して言語化することもできていないからです。

 

「アナログサービスの標準化・共通化」は経営者が旗を振り、組織的に進めないと絶対に達成されることはないのです。

 

今後一段と進むデジタル化の中で、御社が「人間ならでは」のサービスで打ち勝つために、会社のしてのアナログな強みをつくっていきましょう。