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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第23話: 社長が見落としがちな、部下が言うことを聞かない根本原因

部下が自分の指示を聞かないという、愚痴といったら失礼ですが、嘆き(?)レベルのご相談をクライアントの社長からいただくことがあります。

社長からすれば、本来は部下が自分で気づいてやってほしいようなことなのに、部下に指示を出したら断られたり嫌な顔をされたりするのだから、たまったものではありません。

しかし多くの場合、部下が言うことを聞かない理由は部下が無能だからとか、生意気だからということではないんです。

正確に言うと、能力の低い方や生意気な方はもちろんいらっしゃいます。しかし、そのことが社長の言うことを聞かない根本原因ではないということです。

部下が言うことを聞かない根本原因は、部下と信頼関係ができていないか、仕事が仕組み化されていないかのどちらかである場合がほとんどです。

今日は後者、つまり仕事が仕組み化できていないとなぜ部下が言うことを聞かないかということについてご説明します。

仕組み化できていないということは、仕事が属人化している、つまり人に張りついているということになります。その状態で社長が部下に指示を出すと社員はどう思うか。これには2つのパターンがあります。

ひとつは、社員が「自分の仕事を否定された」、つまり「駄目出しされた」と思うパターンです。仕事が人に張りついていますから、社員は自分の仕事と自己同一化してしまっています。その状態で今までの仕事のやり方を変えるような指示がでたときに、自己を否定されたような気になり感情的になってしまうのです。

もう一方は、社員が「社長が仕事を自分に頼んできた(お願いしてきた)」と捉えるパターンです。仕事が人に張りついていると、社員は勝手に「自分の仕事はここまで」と範囲を決めてしまいがちです。その状態では、社長が思いついたことは本来社長の仕事、もしくは他の誰かがやるべき仕事であり、社長の指示は「お願いベース」、「頼まれごと」と勝手に解釈します。

いずれの場合であっても、社員は指示をすんなり聞き入れる状態にないため、社長の方も空気を読んで変にへりくだって仕事を「お願い」したり、逆に感情的にきつい言い方で指示を出したりということになりがちです。

この状態を脱するには、とにかく社員の仕事を仕組み化し、ある意味社員から引きはがすことが必要です。

仕事の目的・ゴールと実施手順、そして役割分担を取り決め、きちんと文書化する。これが仕組み化です。そして、この「文書化する」ということが非常に重要です。たとえその仕事がある社員によって生み出されたものだとしても、文書化することによってその仕事をその作者である社員から引き離し、仕事に客観性をもたせることができるのです。

これは哲学者ロラン・バルトが唱えた「作者の死」という考え方にも通じます。

この「仕組み」は会社にある設備やITシステムと同様に「会社の資産」です。社員の私物ではありません。この会社の資産としての「仕組み」があり、それを運用するチームや責任者がいるという構図です。

仕事が仕組みで回せていると、ある社員の仕事のやり方をおかしいと感じた場合、すぐさまその社員を叱るのではなく、その仕組みを参照することができます。

社員の仕事のやり方が事前に文書化されたものと違っていれば、客観性をもってそれを注意することができますし、もしその社員が、その文書化されたやり方では駄目だというのであれば、その仕組みの責任者とともに見直しの議論をすればいいだけです。

会社の資産である仕組みを改善し進化させていくことは、当然その管理責任者となっている社員の仕事でありますが、その社員が見えていない点、気づいていない点については社長が指示を出すのは当然です。

改善が必要なのはその社員ではなく、会社の共有物である「仕組み」ですから、社員攻撃にはなりませんし、感情的になる必要もありません。もしその社員がその仕組みに関しては現状のままの方がいいというのであれば、その理由を示させ、それに説得力がなければ、その部分をつけばいいのです。

これは社員間でも同じです。仕事が人に張りついていれば、気難しい人やすぐ感情的になる人に対して仕事を頼みにくいですし、ましてそのやり方を変えてもらうというのは大変です。

これが仕組み化されていれば、「〇〇さんのやり方」ではなく、「(私たちの)〇〇のやり方」を変えていくことになりますから、感情的なもつれになりにくい。そして、仕事は一人一人が抱え込むものではなく、みんなで作り上げ、進化させていくものという発想になりますから、社員らのベクトルも一つになりやすいのです。

イメージでいうと、学園祭の出し物をクラスみんなで仕上げていくような、そんな雰囲気をつくることにつながります。

会社のパフォーマンスを上げるために、会社がもつ資産としての「仕組み」を皆で改善し進化させるサイクルをつくっていきましょう。