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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第82話:企業の実力は「値決め」に表れる

 

「値決めは経営」とは稲盛和夫氏の言葉ですが、数ある重要な経営ファクターの中で、この「値決め」ほど軽んじられているものはないでしょう。

 値決めによって当然ながら得られる利幅は変わりますし、ビジネスというのは利益を生み出す競争(ゲーム)なわけですから、本来は稲盛氏の言葉のように「値決め」というのは最重要の経営課題であるはずです。

しかしながら、その割には世の中を見渡してもこの「値決め」に関してしっかりした考え方をもって実践している企業はあまりありません。

よくある値決めのパターンとしては、「競合よりも少し安くする」というものでしょう。コストを積み上げて、その上に大体業界で平均的とされているマージン率を上乗せし、最後に競合価格に合わせて調整するというものです。しかし、ちょっと安くしただけのつもりが結局は競合もそれに合わせてきますから、どんどん価格は下がり収益を圧迫していきます。

ここで、この価格低下の悪循環に陥っている企業の経営者のマインドとしては、「だってしょうがない」という諦めの想いとともに、「安値はお客様のためになる」と自分に言い聞かせることもあるでしょう。

しかし、価格を安くしてしまうことは、実はお客様にとっても非常にマイナスです。

 なぜなら、「安値をつけて売上を上げる」というパターンを選ぶことによって、工夫をして、知恵を絞って、同業他社よりも高い価格でも喜んで買っていただける商品を生み出そうという気概や覚悟が削がれてしまうからです。

 いや、そんなことはない、少しでもいいものを生み出そうと努力している、との思いをもっている場合であっても、「安値に逃げる」という選択肢を持つことを自分に許している時点でその思いも薄まってしまい、結局は競合と同じレベルの中での工夫にとどまってしまうのです。

 あるいは、御社の商品の価値は本当に高い、でもお客様のために安値をつけているという場合もあるでしょう。しかし、これもお客様のためにはなりません。

 それは、その安値によって御社の商品が「普通のもの」「他社と同等のもの」「そんなによくないもの」というレッテルを貼られてしまうからです。

 人間の世界というのは「嘘がつける世界」です。競合他社も同じようなことを見込み客に対して言ってきます。お客様の声だっていくらでも捏造できます。そうなると、見込み客は普通は安いもの=悪いもの、高いもの=いいものというコード(常識)を持っていますから、もし高い価格をつけていたらその価値に期待して購入していたかもしれない上客を取りこぼすことになってしまうのです。

 高単価をつけるというのは、経営者として覚悟を示すことです。それは、他にないものを世に出す覚悟であり、エンドレスな価格競争から脱して社員を豊かにする覚悟でもあります。そして、安値をつけてしまう社長というのは、この経営をするなら絶対に必要な覚悟から逃げているとは言えないでしょうか。

 ここで、自社の業界の構造や扱っている商品、あるいは顧客との関係上、高い値段をつけたくてもつけられるような環境にない、とおっしゃる社長もいるでしょう。しかしながら、その環境に自社を置いているのも結局は社長の選択です。

 自社に価格決定権がないということは、例えるならば大海の荒波の中を進もうとしている船に舵がついていないようなものです。価格を見直す余地がないということは、事業を大本から見直す必要があるということです

 「値決め」とは単に価格を決めることではありません。経営戦略上のさまざまな要素を考慮しながら総合的に組み立てていくものであり、その考え方は実は非常に奥が深いものです。これが「値決めは経営」と言われる所以です。

 現に、当社のコンサルティングにおいてもプライシングに関しては全8回のコンサルティングの中の第6回目に一日かけてその考え方をお伝えし、キラーサービスの価格決定について考察を深めていただいています。

 そして、繰り返しになりますが、そのプライシングの考え方を活かすためには、自社が価格決定権を持てるよう事業を組みかえていくことが先決です。

 企業が存続するために必要なことは利益を生み出せるかどうかにかかっており、その利益の源泉は「差別化」です。そして差別化をするためには絶対に自社が「価格決定権」を握る必要があります。

 「値決めは経営」を実践するために、大本の事業戦略から見直していきましょう。