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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第89話:自社の無価値性を知ることからすべては始まる

 

ポジティブ思考というものがあります。「一生懸命やっていれば、きっと報われる。」みたいなやつです。経営者でもこのような前向きな言葉を社員に伝えてモチベーションを維持させようとしている方も多いのではないでしょうか。

しかし、「努力は報われる」「頑張っていればなんとかなる」といったポジティブ思考を経営者自身が信じているとすれば、その会社は危険です。

それはなぜか。

以前にも当コラムでお伝えしましたが、人は以下の4ステップを繰り返して進化していきます。

① 疑念(なぜだろう)
  思考
 ③ 信念(ならばこうしよう)
  行動

これは、事業を発展させるための考え方もまったく同じで、まず「疑念」、つまり自分たちがいまやっていることがこれでいいのかと、常に現状を疑ってみる視点がないと、事業は進化していきません。

そして、何より大事なのはその現状を打破するためにやるべきことをしっかりと「思考」し「行動」に移していくことです。

しかしながら、ポジティブ思考はこの4ステップを捻じ曲げてしまうのです。

① 疑念(なぜだろう)
 ② 思考
 ③ 行動
 ④ 信念(ならばこうしよう)

つまり、自分がどう思うかが一番大事。思考よりも行動よりも、念じることに重きをおく発想です。

「念じれば花開く」
「思考は現実化する」
「自分が幸せと思えばそれで幸せだ」
「強く願えば理想の未来は引き寄せられる」などなど…

昔からいろんな言い方がありますが、すべて思考と行動から目を背けたい弱者向けの発想です。自分がどう思うかがすべて。要するに何ごとも「気の持ちよう」というわけです。すべてが気の持ちようですから、現状を疑うということもありません。「一生懸命やってるんだからいいじゃないか。いつかは報われるよ。」と。

これで事業が進化するはずがありません。

では事業をしっかり伸ばす経営者はどのように考えるのかというと、彼らはポジティブ思考と真逆も真逆、超ネガティブ思考で現状を捉えます。

つまり、自分たちのやっていることなんて無価値だと考えるわけです。

「自分たちのやっていることなんて、他社でもやれる。」「いつかすぐに真似される。」 このように自己否定的に自社の現状を捉えることから出発するということです。

①の疑念がここまで緊張感がありますから、当然②の思考も真剣味が違います。自社のやることに本当の意味で価値を出すために思考を尽くすのです。そしてこの①と②の質が高ければ④の行動も自然と進むということになります。このサイクルを継続的に回すことで事業を進化させるわけです。

ここで、そんなネガティブ思考で何が楽しいんだと言われるかもしれません。しかし、実際に成功している人の発想は違います。結果を出す人が何より重きを置いていることは自らの「成長」です。そして、成長するためには自己否定の苦しみを乗り越えることは当たり前の話です。

現状を否定するからこそ成長できる。そして成長するからこそ結果を出すことができる。この喜びを知っているから、出発点の自己否定の痛みすら快楽になるということです。

そもそも、このポジティブ思考というのはもともとアメリカの西部開拓時代に生まれたポジティブ哲学をその起源としています。つまり、西へ西へとボロボロになりながら進む労働者たちを救う考え方だったわけです。日本でも戦後復興期には同様に「信念」の大切さを説く考え方が流布しました。前向きな気持ちを持たなければやっていけなかった時代です。

それが自己啓発の文脈で今もずっと語られているわけですが、今のような満たされた時代にこんなフワフワしたことを言っていても現状を見る目が曇るだけです。まして今までになく変化が激しいこの時代に、現状を疑う目を持たずに経営を続けたとしたら、それこそ自社のやっていることは本当に「無価値」となります。

自らの思い込みやそうあってほしいという願望を捨て、客観的、構造的な視点で自社の価値というものを考えられる経営者だけが、この先選ばれ続ける事業をつくることができるのです。