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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第97話:社長が意識すべき「いい赤字」と「悪い赤字」

 

「なんとか業績横ばいでは来ていますが、そろそろ手を打っていかないと…」― 当社が定期的に開催しているセミナーに出られた社長が、後日個別相談にお越しになった際に言われた言葉です。

既存顧客から定期的に仕事は入ってきているし、現場はそれなりに忙しいが、将来を見越して現状打破していきたいとのこと。

ここで私はお聞きしました。「その横ばいは「悪い横ばい」との理解でいいですか?」と。


 

「業績横ばい」という状態は「良くも悪くもない」という意味合いで取られがちですが、実はその中身の実態次第で「いい横ばい」と「悪い横ばい」というものがあります。

「悪い横ばい」というのはイメージしやすいと思いますが、成長が止まり、今後落ちていく手前の一時的な踊り場の状態を指します。

よく言われることですが、事業や商品にはライフサイクルがありますから、導入期から成長期、成熟期を経て、いずれは衰退期を迎えます。

つまり「悪い横ばい」というのはこの成熟期から衰退期に移行する時期ということになります。

一方で「いい横ばい」というのは、成長期や成熟期の事業や商品はあるものの、まだ導入期で赤字先行の事業や商品が足を引っ張り、会社全体でみれば「業績横ばい」の状態、というものです。

つまり簡単にいえば「まだ芽は出ていないが、仕込んでいる事業や商品があるかどうか」という違いということになります。

別の言い方をすれば「次なる成長のための種まきができているか」ということです。

世間一般には「赤字は悪」「黒字は善」と考えられています。しかし経営はそんな単純ではありません。「いい赤字」もあれば「悪い黒字」もあります。

「いい赤字」というのは、まさに仕込み中の種があるということになります。今後芽が出る可能性が高いが、いまは導入期のため経費先行となり赤字になっているというものです。
言うなれば「楽しみな赤字」ということです。

もちろん「楽しみな赤字」も本当に成長の芽がでるのかどうかの見極めは極めて重要ですが、リターンを得るためにはリスクをとることは避けられないことであり、つねに種を仕込んでいかなければ企業の成長はないということは当たり前の話です。

逆に言えば、現状自社の事業に将来の成長のための仕込みも仕掛けも埋め込まれておらず、ただ刈り取っているだけの状態にあるとしたら、いずれ事業は成熟期から衰退期に移行しますから、それは長い目で見れば「悪い黒字」だということです。

経営トップである社長がここを理解せずにつねに目の前の黒字を求めてしまっては、企業は「チマチマ病」に陥ります。社員も社長の期待に応えるべく「刈り取り」ばかりに目を向け、金がかかる「種まき」のことは考えなくなってしまいます。そうなると、すべてを刈り取ったときには何も種が仕込まれておらず、当然ながら経営は苦しくなります。

大事なことは、事業が儲かっている間に次のネタを仕込んでいくということです。かつての「大きな物語の時代」には市場が一律で伸びていったため、自社でネタを仕込まなくても企業が成長できましたが、現代の「小さな物語の時代」においては、市場が自社の成長をけん引してくれるというのは幻想にすぎません。自ら種も仕掛けも仕込んでいかないとマジックは起きないのです。

経営者は頭の中で「種まき」と「刈り取り」のふたつの思考を常にもち続ける必要があります。そして社員にもそれを理解させることが肝心です。ですから、例えば営業会議などで「刈り取り」の結果としての数字だけを確認していても意味がありません。いまどんな種がまかれていて、それがどんな状態であるか、何をすれば芽がでるのか、それをしつこく追いかけていく必要があります。

そして何より、「種まき」ができている企業が活気が出ます。「楽しみな赤字」があるということは、文字通りこの会社に「楽しみ」があるということです。それが社員の意欲を引き出すのです。

御社は成長のための種まきはできていますか?
 種も仕掛けもないのにマジックを求めていませんか?

先手先手で成長のための布石を打っていきましょう。