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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第98話:感動の押しつけで社員は楽になるのか?

「感動」がビジネスのネタとして売り物化されている昨今ですが、職場に「感動」を生み出すノウハウを社員の満足度向上のために取り入れる企業の紹介なども目につくようになりました。

ハッピーな理念をつくる。ありがとうカードを導入する。社員に手紙を書く。社員の幸せを会社の目的にする…などなど。

うちの会社にいたら感動できるよ、幸せになるよ、というわけです。

そして、社員のモチベーションと満足度は上がり、会社の競争力もアップ! 業績は向上し、社員の離職率も減って、みんながハッピーになると。

実際にこうなったという企業もあり、格好の講演ネタとして取り上げられていますし、この手法を教えるコンサルタントも出てきているとか。

経営をよくする方法はいろいろあるでしょうし、この手法自体を否定するものではありませんが、「社員がハッピーになって業績も上がるなら、いいね、やろう!」と経営者が安直に考えて飛びついてしまったのでは、結果は無残なことになるでしょう。

「感動だ!」「感謝だ!」と、ふわっとした言葉で職場をつつみ、社員を一時的に気持ちよくしたところで、現場の仕事のやり方が非効率で、社員に大きな負荷がかかっているとしたら、単に理想と現実のギャップが大きくなるだけです。

それに、「まずは社員が幸せになろう!」とのメッセージは、ともすれば社員の意識を「自分」に向かわせ、一人ひとりが「自分の仕事」を楽にしようとの動きにはしり、全体としてはチマチマした活動になることも予想されます。

結局、仕事は一向に楽にならずに期待外れに終わり、社員の不満はかえって大きくなります。

また、本来は「社外」、つまり市場や顧客に目を向けるべき社員の意識が「内向き」になると、「社内をどうするか」がすべてとなり、「事業をどうするか」という発想が欠落していきます。

そうなると、一時的には仕事のやり方は前よりよくなったとしても、長期的には会社の事業そのものが陳腐化し、業績は下降していくでしょう。そうなってしまっては、「感動」もへったくりもありません。

社員を幸せにするな、と言っているのではもちろんありませんが、考え方の順番が逆ということです。いくらいい響きの言葉で職場を覆っても、事業コンセプトが陳腐化し、仕事のやり方も非効率なままでは、社員を幸せになどできるはずがありません。

当社では一貫して、経営者がやるべきことは「自社独自の強みづくり」と「オペレーションの仕組み化」の2点だと言い続けています。

当コラムでも何度もお伝えしていることですが、ニーズや価値観が限りなく多様化・細分化した「小さな物語の時代」である現代において、他社と同じような事業をやっていたのでは、経営は苦しくなるばかりです。

特に、下請け的な仕事が受注の大半を占める会社は今後ますますきつくなるでしょう。働き方改革的な観点からも「大変な仕事は(安値で)外に出そう」という発想は強くなってきていますから、「手間のわりに儲からない仕事」がどんどん回ってくることになります。自社独自の「企画」をもたないと、働き方改革のしわ寄せを自社で引き受けてしまうことになるわけです。

また、オペレーションを仕組み化し、ベストなやり方で標準化していかないと、現場での社員への負荷は減りません。そして、仕事ができる人とできない人との格差が大きいまま、できる人に頼り続ける構図になります。そうなると、その「できる人」の器以上に会社は成長しませんし、もしその人物が辞めてしまっては、成長どころか事業は縮小を余儀なくされます。

社員を幸せにしたいなら、経営者は外を向かなければなりません。お金は社内ではなく、社外に落ちています。たまに「金儲けのために社員を犠牲にしたくない」という経営者がいますが、儲からない事業というのは顧客を喜ばせていないわけです。それで社員がやりがいを持てるのでしょうか。そして社員を一生守っていけるのでしょうか。

社員にやりがいと、誇りと、そして安心を与えるためにも、経営者はまず外に意識を向け、自社独自の戦略を練る。そしてそれを実現するために、社内の仕組みを整える。これしかありません。

社内が一つの方向を向き、顧客のために自社の強みを磨く。自社のコンセプトと組織力をどこまでも高める。その結果、顧客に真に喜ばれたのなら、そこに感動と感謝は必然的に生まれます。表層的なハウツーで「感動」をつくっても見透かされるだけです。

顧客から喜んで選ばれる強い事業をつくり、現場で真の感動を生み出していきましょう。

顧客と社員のために自社独自の道をゆく経営者を、当社はこれからも全力で応援します。