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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第111話: 理念をつくったところで何も変わらない理由

 

「ある先輩経営者にそろそろ理念をつくれと言われたんですが、つくった方がいいですかね?」 ― 当社セミナーにお越しになった社長が帰り際にこう聞かれました。

私は(ああ、またか…)と思いながら「そんなこと考える必要ないです。社長にはもっと考えるべきことがありますから。」とだけお答えしました。


よく経営コンサルタントが経営者に対して「理念をつくりましょう」とか「理念を変えましょう」と提案をします。「経営で一番大事なのは理念です。ちゃんと言語化して社員に落とし込みましょう。」と。

しかしそんな、他人にそそのかされてつくった、綺麗な言葉が並んだだけの標語をいくら社長室やホームページに掲げようと、いくら朝礼で社員に唱和させようとも、それで事業がよくなることはありません。

「理念にお客様に対する思いが入ってないですよ。」とか、「社員を大切にするという点も入れた方がいいですよ。」なんてアドバイスしたがる経営コンサルタントもいますが、そんな言葉あそびをしていたところで実際の経営は何も変わりません。コンサルタントがいいカッコしたいだけの話です。

そもそも理念とは「わざわざつくる」ものではなくて、事業を起こす上で経営者の中に「もともとある」ものではないでしょうか。額に入れて飾れるような綺麗な言葉にはなっていないかもしれませんが、社長として全責任を背負ってやっている時点で、自分なりの思いは腹の底にすでにあるはずで、もしないなら社長なんてやめた方がいいでしょう。

ある有名経営者が講演会で「理念をつくったらやっと覚悟が決まった」と言っているのを聞いたことがありますが、自社の社員が目の前で働いている姿を見て社長として覚悟が持てないようでは、理念をつくろうがなにをしようがきっと同じです。

お客様のために理念をつくらないといけない? いや、お客様はそんなことは望んでいません。お客様は自分のメリットになることだけを求めているのです。

社員のために理念をつくならないといけない? いや、社員はそんなことは望んでいません。社員はやりがいのある仕事をしながら豊かになることを望んでいるのです。

だとしたら社長が明確にすべきことは決まってきます。

それは「自社の存在意義」です。

なぜこの会社が世の中にある必要があるのか?

なぜこの会社でないとダメなのか?

それが明確になっていれば、お客様にとっては「ここから買う理由」が生まれます。社員にとっては「ここで働く理由」が生まれます。

もちろん、これも理念と同じで、実態がともなわずにただ言葉上でつくっただけでは意味がありません。

結局いつもお伝えしていることに行き着きますが、自社の存在意義があるということは、明確な「自社独自の強み」があるということです。

いくら美しい理念を掲げたところで、やっていることが他社と同じなら世間からは「もう間に合っている」と言われてしまいます。

利益を生み出す厳選は「他社との違い」です。いくら自社が価値あることをやっていても、それが他社でもできることであれば、価格競争になり利益は残りません。

そして利益を出せない企業ほど不要なものはありません。

利益が出なければ会社の存続もままなりませんし、なんとかギリギリやれているとしても、リーマンショック級の不況がやってくれば、従業員の解雇、事業の縮小、あるいは最悪の場合倒産ということになり、社員にも顧客にも迷惑をかけることになります。

しっかりと自社ならではの特徴を打ち出し、それを社員一丸となって実現させ、それによりお客様に貢献し、自分たちも豊かになる。結局、そういういわば当たり前のことをしっかり実行していくことでしか、お客様にも社員にも報いることはできないということです。

昨今、また大企業で「社員の大幅削減」が続いています。いつのまに社員は「削減するもの」になったのでしょうか。理念もなにもあったものではありません。

社員に対して、そしてお客様に対して「覚悟をもつ」ということは、すなわち「強い事業をつくる」ということです。少々の嵐がこようとも揺らぐことのない、しっかりとした事業基盤をつくることです。それを通じてしか社長の覚悟を示すことはできません。

社長の腹の底にその覚悟があれば十分です。「いい会社づくり」をそそのかしてくる声に耳を傾け、そとづらのためだけに理念をつくったり変えたりする必要はありません。

お客様のために、そして社員のために、独自の強みを武器に継続的に成長していける会社をつくっていきましょう。