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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第117話:価格を上げたきゃアナログを売れ

 

「もっと儲けたいなら価格を上げたらいいってことですよね?」― とある会合の懇親会の席で、社会人になりたての若者が無邪気に発した発言です。

それを聞いたベテラン経営者たちは、「そりゃそうだー!」「参ったなあ」と笑っていました。

私も笑いながら内心思いました。「笑いごとじゃないよ…」と。


 

価格を上げたら利益も増える。この単純な公式が成り立たないのは、当然のことながら、価格を上げたら販売量が落ちる、つまり売れなくなるからです。

それも、昔学校でならった「需要曲線」のように、価格を上げたらその分だけ緩やかに販売量が落ちるということであれば、相場より少し価格を上げて現場に余裕を持たせよう、という選択肢も取れるかもしれません。

しかしながら、相場よりも少しでも価格を上げればガクッと販売量が落ち込んでしまい、事業が行き詰ってしまうという会社も多いことでしょう。

それゆえに多くの経営者がこの「相場を意識する」ということを重要視するわけですが、儲かる事業を展開したいのであれば、逆に「相場を無視する」ことに向き合っていく必要があります。

正確には「相場を無視できる」事業をつくるということになります。

ではどうすれば相場を無視しても売れる事業を展開することができるのでしょうか。

この問いに対する教科書的な答えとしては「他社と比べられない商品・サービスを提供する」ということになります。

わかりやすい例でいうとダイソンの掃除機や扇風機でしょう。世界に無数に存在する競合商品とはまったく異なるコンセプトで商品を企画し、相場よりも突出した価格帯をつけても世界中で売れ続け、同社は高収益を上げ続けています。

和製ダイソン的な存在であるバルミューダも奇抜な発想でアイデア家電を企画し、2万円越えのトースターなど、相場よりもはるかに高い商品をヒットさせています。

しかしながら、、、このようなヒット商品を生み続けるのは並大抵のことではありません。モノが足りている現代において、単発のヒット商品は運よく世に出せたとしても、それを出し続けるというのは、特に中小企業にとっては非常にハードルが高いことです。

では、どうすれば相場を超えた価格で商品・サービスを提供することができるのか?

それは、価格がよくわからないもの、値段がつけにくいものを提供することです。

その代表的なものが「無形のノウハウ」です。

たとえ売っているものがどこにでもある商品だとしても、その商品を提供する際に顧客にとって役に立つノウハウを提供すれば、その商品の価格だけで勝負する必要がなくなります。

たとえば、一見なんの特徴もない八百屋に果物を買いにいったとして、スイカを買おうとしたら店主がすかさずスイカをたたいて、どれが甘いかを教えてくれたり、キウイを買うならリンゴと一緒に買って一晩袋に入れておけば甘くなると教えてくれたりと、いつも「失敗しない果物えらび」を教えてくれるお店だったら、スーパーよりちょっと高くてもそちらに行くのではないでしょうか。

あるいは家具を一式揃えようというときに、部屋の見取り図とこちらの好みや予算に応じた適切なレイアウトを考えてくれる家具屋があるとしたら、とりあえずそこで話を聞いてみようとなる人も多いでしょうし、そこで一式買ってしまう人も一定の確率でいるはずです。現にIKEAなどではこういったサービスを開始しています。

アマゾンの浸透で一番の被害に遭っている書店業界でも、「一万円選書」の岩田書店のように選書のユニークさで注目を集めているところが数多く出てきていますし、本の選書といえば昨年オープンした「箱根本箱」という旅館は著名人らが選書した12,000冊の本が滞在中自由に読めるということで非常に人気です。こういった「選定・セレクション」も無形のノウハウとなります。

ノウハウだけでなく「現場でのサポート」も有用です。有名な例では「でんかのやまぐち」。同社では販売員が地域住民向けに至れり尽くせりの生活サポートを提供することで、「遠くの親戚より近くのやまぐち」といって家族のように信頼され、量販店がひしめく激戦区ながら彼らよりはるかに高い価格で家電を販売できています。

こういったノウハウやサポートはきわめてアナログ的なものですから、計算機でちゃちゃっとコスト計算できるようなものではありませんし、こういった無形サービスを商品とともに提供すれば、他社商品との単純な価格比較ができなくなりため相場よりも高単価をつけやすくなります。

商品を提供する業種だけでなく、加工賃や作業料ベースで商売をしている加工業やサービス業なども、そのコストが顧客にとってわかりやすいため、普通にやっていたら必ず相場の影響を受けてしまいますが、これもプラスアルファの「アナログ」を加えることで、提供する価値を引き上げることが可能です。

そしてなにより、アナログは簡単に真似できません。他社が真似したくてもすぐにできるものではありませんから、業界で唯一無二の存在となり市場での認知度を格段に高めることができます。

誰でも提供できるもの、すぐに真似できるものを提供していても事業は苦しいだけです。このデジタルな時代だからこそ、いかに「顧客の喜ぶアナログ」を探すかが勝負の分かれ目です。

そしてそれは必ず見つけ出すことができます。なぜなら、たとえ商品であふれる現代においても、人の欲求というのは尽きることがないからです。

なんともいえない絶妙なアナログを武器に、相場に巻き込まれない高収益ビジネスをつくっていきましょう。