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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第121話: 古い社員に気を遣う社長が会社を駄目にする

 

「うちも新しいことをやりたい気持ちはすごくあるんですけどねえ…」―― 当社が定期的に開催しているセミナーにお越しになる社長の中には、このような感想…といいますか、お悩みを吐露される方が一定の割合でいらっしゃいます。

わざわざ社長がセミナーに出てこられたということは、自社でも何か新しいことを始めたい、特別な武器を持ちたい、いい仕組みを導入したい…といった考えをお持ちになってご参加されたことでしょう。

4時間もあるセミナーに、なんとなく、とか、ちょっと暇だったんで…なんていう気持ちでわざわざ出てこられる社長はいらっしゃらないはずです。

ところが、セミナーに出てみて気づかれるのです。「ウチには新しい仕組みをつくっていける人材なんていない…」と。

もちろん、会社には「人」はいます。古い社員には本部長や部長といった役職も与えられています。しかし、役職がついているからといって、彼らは昔からずっと同じことをやっているだけであり、彼らに今更新しいことをやらせるのは無理がある、というわけです。

しかも、いま会社が危機的な状況で、「もう待ったなしだ!」という事態であれば話は別ですが、会社は一応黒字だし、事業は伸びているわけではないけど悪くもなっていないので、なんか社内をかき回すのも気が引けると…。

このように、古い社員の存在が会社を「現状維持」の方向に引っ張るというケースはよく見られます。特に、会社を引き継いだ後継社長の場合は、自分よりも社歴も年齢も上という社員が役職についている場合が多く、彼らに気を使って会社を変えられないという状況になるケースになりがちです。

この問題は一見、そういった古参の社員の存在が引き起こしていように見えますが、実はそうではありません。これは、当の社長が会社を変える必要性に腹落ちしていない、つまり社長のマインドセットの問題です。

社長というのはスポーツチームでいうと監督に当たります。そして監督は勝負に勝つために采配を振るうのが仕事ですから、当然ベストメンバーを自分で選びます。かつてサッカーのワールドカップに日本が出場を決めたとき、岡田監督はカズと北澤を代表メンバーから外しました。批判も起こりましたが、チームの戦略と合わない選手を置いておくわけにはいきませんから、これは致し方ないことです。

もちろん、会社の場合は社員の雇用というものがありますから、サッカー代表のように社員を辞めさせるわけにはいきません。

しかし、新しいことを始めるときに、それを引っ張ることができない古い社員を辞めさせる必要などなく、それができる社員、もしくはそうなるように育てたい社員をプロジェクトリーダーとして抜擢するなど、やり方はいくらでもあります。

それをやらずに、古い社員に気を使って事を起こさないのは、社長が「安定志向」だからです。

その「安定志向」は平時のときには何も問題になりません。業界が安定しており、複数の企業がシェアをうまく分け合って波風立てずに進んでいるような状況であれば、現状維持の戦略で逃げ切れるかもしれません。

しかし、それでは博打をするようなものです。業界で未来永劫大きな変化がないことに賭ける、あるいは祈る…。しかしそれは非常に分が悪い賭けだと言わざるを得ません。

なぜなら、ビジネスも博打も勝ちにいかなければ、勝つことはあり得ないからです。最初から「現状維持」を狙っていたのでは、上に振れようがなく、良くて現状維持です。

そして、良くて現状維持と言いましたが、現状維持を狙う戦略は実際には機能せず、会社は必ずや衰退することとなります。

その理由は、現状維持を狙う戦略では、組織が死んでいくからです。

自分たちの手で何か新しいことをやろう。
 もっと顧客の役に立とう。
 業界を変えていこう。
 イノベーションを起こそう。

そのような気概をもった組織であれば、社員の視点は外を向きます。自分たちの役割というものを広い視野で客観視するようになります。

そして、以前の投稿でも書きましたが、そういった外への視点をもった組織は、自分たちの「あるべき姿」と現状とのギャップに気づき、それを埋めようと手を打っていきます。

一方で、現状維持という考え方しか持たない組織であれば、社員の意識は内に向きます。外のことは二の次となります。現状を変えようという社員が現れた場合には、古い社員が潰しにかかります。

そのような組織は、もし業界でなにか新しいイノベーションが起こった場合に、その時になって慌ててもアウトです。なぜなら、新しいものを自分たちの手で世に出そうという気概を長年持ってこなかった組織では、いざというときになにも事を起こせないからです。

その時になって社長は焦って社員を鼓舞しようとしますが、社員が完全にゆでガエルになっており、社長の声は彼らには届きません。

そしてこれはマインドセットだけの問題ではありません。長年新しいことや難しいことに挑戦してこなかった組織では、いざ何かをやろうと思ったところで、どうやって新しい商品やサービスを考えたらいいかわからないし、仮にアイデアが出たとしても、それを実現することはできないでしょう。

こうやって会社は死んでいくのです。

「でもそんな業界の変化なんて起こらないよ!」―― このセリフは、いま大変なことになっている業界においても大半の人が思っていたことです。

アマゾンが出現するまでは、書店業界では、確かに本の発行部数は減ってはいるものの、本屋が不要になるとは思っていなかったでしょう。

ダイソンが出現するまでは、日本の家電メーカーは、基本的には今の延長線上で商品の改良をしていけばいいだろうと、思っていたことでしょう。

デジカメが出るまでは、コダックと富士フィルムはいい感じでお互い棲み分けしてやっていける、と思っていたことでしょう。

そして今は日本が世界に誇った自動車産業も厳しい局面にあります。自動車製造のあり方は今後大きく変わっていきます。そしてそのインパクトは自動車業界だけに留まるものではありません。

「自分たちの業界に限ってそんな大きな変化は起こらない」と考えることは、もはや不自然で非現実的と言えるのではないでしょうか。

人材は成長事業の中でしか育ちません。現状に立ち止まろうとする組織では、流れは澱み、人の心も腐っていきます。そして、組織がどのような性質を持つかは、すべて社長の気概次第です。

御社は、世の中を変えるために新しいことに挑戦し続ける組織を目指しますか?
 それとも、とりあえず現状維持で様子を見ますか?