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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第129話:中小企業の経営は「値決め」が9割

 

「え? コスト意識が高いと駄目? 逆ですよね?」 Y社長は思わず聞き返されました。
「いえ、逆じゃないですよ。コスト意識が高いせいで儲かっていない経営者がとても多いのです」―― こうお伝えすると、Y社長は怪訝な顔で話の続きを待たれました。


 

経営者のコスト意識が高いとなぜ駄目なのか? いうまでもないことですが、無駄なコストをかけることがいいということではありません。たとえば自動車を作るのに、本来なら100万円で作れるところを、効率の悪いオペレーションで120万円かけて作っていたら、その自動車メーカーの経営は当然ながら行き詰るでしょう。

無駄なコストは削減すべき―― この点に異論はありません。問題になるのは「無駄なコスト」だけではなく、「コスト」そのものを悪と捉えている場合です。

「コストをかけることは悪いことだ」―― この考えの裏側にあるのは、往々にして「値段が高いことは悪いことだ」という考え方です。

「値決めこそ経営」と唱えたのは稲盛氏ですが、経営についての非常に重要な要素である値決めに関しては、経営者によって大きく2つの考え方に分かれます。

それは「できるだけ安くしよう」という考え方と、「できるだけ高くしよう」という考え方です。

前者の「できるだけ安くしよう」と考える経営者は、高い価格をつけることはお客様に悪いと考えています。お客様に高いお金を払わせることは悪いこと、と考えているわけです。

しかし、本当にそうでしょうか?

経営者が「お客様に高いお金を払わせると悪い。できるだけ安くしないと…」と考えると、その会社が提供する商品やサービスは基本的には質が低下する方向に向かいます。

設計はシンプルにし、材料も安いものに変えて、できるだけ手間をかけず…

この発想で価格を下げるためにコスト削減に取り組んでいけば、コスパは良くなるかもしれませんが、絶対的な「質」は下がっていくことになります。

もちろん、この「コスパ」で勝負してうまくいっている会社もあります。例えばニトリです。「お値段以上ニトリ」というキャッチフレーズのとおり、値段の割にはいいものを提供して、うまく高級路線と安売り路線の間をついています。

しかしながら、ニトリのように「量」をさばけない中小企業がコスパで勝負するのは非常に危険です。下手をすれば、「すごく安いわけでもなく、かといって質がいいわけでもない」という中途半端なものを市場に出してしまうことになります。

事実、このような中途半端なポジションをとってしまったために商品が全然売れず、やむなく「まあまあいいものをすごく安く」売ってしまっている中小企業は非常に多いです。

ここで考えていただきたいことは、世の中のすべての企業が「お客様のためにできるだけ安い商品を提供しよう」と考えたとしたら、それで本当に世の中は良くなるのか、ということです。

前述のとおり、価格を下げる発想の先には質の低下があります。限られたコストの範囲内でできるだけいいものを提供しようと考えても、発想が制限されてしまって面白いものが生み出される余地は非常に小さくなってしまいます。これではお客様も喜ばないし、企業も儲からないという‟Win-Win“ならぬ‟Lose-Lose”という結果に終わってしまいます。コストを下げて価格も下げる…この発想の先に豊かな経営はないということです。

そうではなく、「量」で勝負することが難しい中小企業の経営者は、「いかにして価格を上げるか」を考えることが重要です。

もちろん、ただ単に価格を上げたらいいというわけではないことは言うまでもありません。高い価格をつけるためには知恵を絞る必要があります。どうすればお客様が喜んで高い値段を払いたくなるのか…経営者はここに常にアンテナを高く張っておくことが求められます。

そして、そのような視点で世の中を見渡してみれば、実にさまざまな方法でプラスアルファの価値を提供し、お客様に追加のお金を喜んで払わせているケースがあることがわかります。

たとえば、私は昨日泊まったホテルもそうです。元々の宿泊費は9千円だったのですが、結果的には喜んで1万2千円を払いました。その訳は「夜中の靴磨きサービス」を利用したからです。雨の中、夜遅くにホテルにたどり着いたのですが、夜中0時までに靴を渡せば朝6時に靴磨きを仕上げてくれるサービスがあり、おかげで今日はピッカピカの靴で気分よく顧客訪問ができそうです。

このように、価格を上げる秘訣は顧客に何か「特別な対応」を提供することです。普通のことをやっていては価格が相場にこなれていくことは当たり前のことです。そして、万人に受ける商品やサービスを考えていたのでは、自然と発想は「普通のこと」になってしまいます。

この靴磨きも、当然ながらすべての宿泊客が利用するものではないでしょう。しかし、私のように「ピカピカの靴で顧客訪問したい」と考える顧客は必ず一定数存在します。そしてそのような顧客は、この特別対応を利用するために次もこのホテルを選び、喜んで「余分なお金」を払うことになります。

「どうすればより価格を上げられるか」―― この発想から豊かな経営は始まります。相場よりもお金を払ってもらえるような「特別な存在」を目指す思考こそが、顧客から感謝され、かつ自身も報われる道となります。

御社ならではの特別対応を打ち出し、自社も顧客も豊かになるWin-Winの関係を気づいて築いていきましょう。