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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第132話:社長はなぜ孤独なのか?

 

「戦略は組織に従う」という考え方があります。いくら壮大な戦略を描いたとしても、組織の力がそれを実現するレベルになければ「絵に描いた餅」となってしまうため、身の丈にあった戦略を構築しないといけない…という主張です。

確かに、一見もっともな主張ではありますが、現状の組織能力を固定的なものとして捉え、いま自分たちでできる範囲で戦略を考えてしまうと、チマチマ病に陥る可能性があります。

組織というのはあくまで戦略を実行するための手段ですから、やはり「組織は戦略に従う」―― つまり「目的→戦略→組織」という順で『上から』考えていく必要があります。

ですから、事業の目的やそれを実現するための戦略を考えることなしに、組織をいじったり、組織強化のために研修やトレーニングを受けさせりすることは本末転倒ということになります。

しかし、どんな戦略を選択するにせよ、どんな組織をつくるにせよ、絶対になくてはならない「体制」というものがあります。

それは、『社長が単独で意思決定できる体制』です。

つまり、社長がやると決めたら、誰に反対されようともそれが会社の意思決定となる体制です。

これは、社長の仕事が何であるかを理解している社長にとっては当たり前の話となります。

社長の仕事とは、一言でいうと「選んで、捨てる」ことです。

「選ぶ」とは当然ながら、自社がどんな事業をやるか、そしてそれをどんな戦略と戦術で実現するか、ということを考え決断することです。

そして、「捨てる」とは、自分が選んだことだけに集中し、他のことには手を出さないと決断することです。

これまた当たり前のこととなりますが、ビジネスには「正解」はありません。どんな事業や戦略を選べばいいかのか、その答えは常に時代の変化や競合の動態によって変わります。言ってみればビジネスは博打と同じで、最後は「やってみないとわからない」わけです。

そして、企業にはリソース(ヒト・モノ・カネ)に制約がありますから、当然ながら「すべてに賭ける」わけにはいきません。少しでも成功確率が上がるよう必死で考えながらも、最後はどれかを選ばなければならないのです。

さらに重要なことは、一旦選んだら、他のことは「捨てる」ということです。ウチはこれで行く!ということに集中しなければ、成るものも成りません。「あれも、これも」ではなく「あれか、これか」で、自社の強みを築き上げる必要があります。

以上が社長の仕事です。「選ぶ」と「捨てる」の連続です。それを誰かに相談することはあっても、誰かに決めてもらうことはあり得ません。この決断の権限と責任を持っているからこそ、会社のトップたる『社長』という肩書が与えられているのです。

ですから、社長が自分だけの意志でこの決断をできず、他の役員の同意を得なければ会社の決定とならないとしたら、その会社は『社長不在』であり、それは『経営不在』を意味します。

なぜ会社の意思決定をみんなで決めてはいけないか―― それは何より「責任不在」になるからです。「みんなで責任を取る=誰も責任を取らない」です。社長以下、経営陣が「自分(だけ)の責任じゃない」と思って意思決定をする会社など、うまくいくはずがありません。社長が「失敗したら全て自分の責任だ」と思ってやらなければ、経営は確実にゆるくなります。

また、みんなが賛成するような意思決定は、おそらく「愚策」です。無難で当り障りのないものになります。よほど足元が危機的な状況になっていない限り、役員や社員は基本的には「現状維持」を望みます。それが人というものだからです。

現に、名経営者と呼ばれる人の多くは、役員の反対を押し切って意思決定をしています。たとえばニトリ会長は「最大の敵は社内の幹部だ」と明言しています。なぜそれでうまくいくかというと、事業経営の本質は結局のところ「人がやれないことを実現すること」だからです。

過去に「役員に危機感がなく、やりたいことができない。彼らの説得してもらえないか」と、ある社長にご相談を受けたことがあります。私はもちろんお断りしました。説得されるべきはその役員ではなく、社長の方だからです。役員が反対しようが何をしようが、社長は「決断」という自分の仕事をするだけです。それができない社長は従業員など雇ってはいけません。彼らを不幸にするだけです。

よく「社長は孤独」といわれます。それは社長に話し相手がいないからではありません。社長はたった一人で決断しなければならないからです。あなたしかいないのです。

『社長』という肩書、それはとてもとても重いものです。