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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第145話:社員研修が不要不急である理由

 

「知り合いの研修講師の方は仕事が激減したって言っていますけど、中川さんもやっぱりコロナの影響出ていますか?」―― 先日急遽ご相談したいと遠方から東京までお越しいただいた経営者の方からこんな一言がありました。

「はい、非常に影響が出ています。社長のように急遽ご相談したいと来られる方が非常に増えているんです」とお答えすると、「そうか、私と同じってことですね」と苦笑いされました…。


 

都市部における緊急事態宣言の発令などもあり、多数の人間が集まる会合や不要不急の外出を控える動きが広がり、多くの業種業態のビジネスに多大な影響を与えています。

ほんの数か月(いや数週間)前までは、オリンピックはどうなるのかなあ、微妙だなあ、なんて言っていた空気が一変しつつあり、いまや微妙どころかオリンピックなど論外、それより通常の経済活動が本当に戻るのかどうかを心配する空気が蔓延しています。

「この騒動はいつ収束するでしょうか?」といったことを私もよく聞かれたりしますが、こちらは一貫して「いつ収束するかよりも、これからどう変わるかにフォーカスして動かれた方がいいでしょう」とお伝えしています。人の意識というのは一度変わるとなかなか元には戻らないものです。たとえコロナの広がりは落ち着いたとしても、人の行動が完全に元に戻ることはあり得ないと当社では考えております。

たとえば、この騒動が収束したあとであっても、もう「不要不急」な会議や打ち合わせを実施することは非常に難しくなるでしょう。なんせこういう打ち合わせをやらなくても、当事者同士のちょっとした電話やメールのやり取りでことが済んでしまうということを、これから多くの方が度々経験していくからです。

これまでも「生産性」の重要性については一部の経営者の中で共有されていましたが、アフターコロナ時代においては、「本当に意味のあることに時間や労力を割く」ということを、まともな経営者であれば誰でもより強く意識することになるでしょうし、無駄なことに時間を割く習慣を持ち続ける企業は早々に淘汰されていくことになるはずです。

そのような環境の変化において、大きな影響を受けるもののひとつに「企業研修」というものがあるのではないでしょうか。社員向けの研修は多数を一つの部屋に集めて実施する形態ということもあり、多くがいま見送られていますが、まともな経営者であればこれを機に社員研修の活用の考え方も見直しをされるのでは、と当社では考えています。

というもの、世間で実施されている多くの社員研修が「不要不急」であり、かつ実際の企業成長につながらないからです。

もちろん、企業成長のために社員の能力向上は不可欠です。いくらいい戦略を描いても社員の実行能力が欠如している、あるいはそもそもそれを達成しようという意識も気概もないようでは、その戦略は何の意味もありません。しかしながら、実際のところは世に数多ある社員研修はほとんど機能していないというのが実態です。

ではなぜ社員研修が機能しないのか? それは、その会社の役員や社員の中に「ある2つのもの」が存在していないからです。

その2つのものとは、『痛み』と『問い』です。

「痛み」とは、いまのままでは自分たちの事業が駄目になってしまう、負けてしまう、という切迫感のことを指します。

今のままでは堂々巡りで進展は望めない、かといってどうすればいいかわからない、このジレンマが「痛み」となります。それが社員を成長させるための出発点となります。そして、この痛みがあると社員は自分の中に「問い」を立てはじめます。

ここでいう「問い」とは、会社がある目的を達成するためにどうしたらいいのか? 何が必要なのか? といった具体的な問いです。

例えば以下のようなものです。

・競合と完全に差別化するためには、自社の事業をどのように変えていけばいいのか?
・既存の自社商品・サービスをどのように見直せばいいのか?
・いいものを提供しているのにお客様に選ばれない。どこが根本の問題なのか?
・いまやっている集客では頭打ちになっている。どこに手を入れればいいのか?
・仕事のやり方が場当たり的で仕組み化ができていない。どこから手をつければいいのか?

といった、それさえ解決できればブレークスルーできるという、パズルの最後のピースを求めるような「問い」となります。

もうお分かりだと思いますが、自社の幹部や社員が現在の自社の状況について自分事として「痛み」を感じておらず、その痛みを避けるための「問い」も立てていない状態では、いくらいい研修を導入したところでまったく意味がないのです。右から左に聞き流されるだけです。

そうなるのはある意味で当たり前で、自分が健康だと思っている人間に「ガンにならない食生活」というテーマでいくら真剣に話を聞かせたところで、相手はまともに聞くはずがありません。不要不急だからです。極端に言えば、こういう話を本当にちゃんと聞いて実行できるのは、自分がガン、あるいはその疑いがあると診断された人間だけなのです。

昨今のコロナショックに伴う経済の落ち込みに直面して、当社へのご相談も非常に増えていますが、そういった方々は当然ながら「痛み」を感じて、「問い」をもってお越しになっています。その問いが正しいのかどうかを判断し、そしてその答えを考えたいということです。勉強になるとか、社員教育にいいといった、(また言葉が悪いですが)ぬるい理由で来られている方は一人もいらっしゃいません。

社員教育は手段であって目的ではありません。いまこそ目的なき手段は捨て去り、事業発展のために正しい「問い」を立てるときです。

行動は自粛しても、起業家精神を委縮させる必要はありません。事業を発展させる余地はいくらでもあります。この機会を最大限に生かし、新しい結果を生み出していきましょう。