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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第150話:事業をレベルアップする社長が考えていること

 

「ついつい自社の商品を売ろうという発想に戻っちゃんですよねえ…」―― 当社のコンサルティングを受け始められたばかりのクライアント企業の社長が頭を抱えながらこうおっしゃいました。

当社にご相談にこられる経営者の方々には、「このまま自社商品をせっせせっせと拡販していても事業はよくならない…」このようなお考えでお越しになる方が多いのですが、はじめのうちはなかなか発想が既存事業の範囲を超えられないというケースが多いです。

実はこれには理由といいますか、これが原因だということがありまして、それは「自社の事業を良くしたい」、「自社の事業を変えたい」といった思いが強いとこうなってしまうことが多いということです。

逆説的な言い方になりますが、自社の事業について新しい発想を生み出すためには、「自社事業を良くしよう」という発想はいったん横に置いていただく必要があります。

そうお伝えすると、「自社事業を良くしようと思ってコンサルティングを受けているのに、自社事業のことは考えないとはどういうことだ?」と思われるかもしれませんが、自社の事業をどうしようと考えれば考えるほど思考の幅がせまくなってしまうのです。

では何を考えたらいいのかというと、この答えは実にシンプルで「顧客のことだけを考える」ということになります。

なんだそんなことか、当たり前じゃないか…と思われた方も多いと思いますが、この「顧客のことだけ」を考えるということが意外と難しかったりします。

それはなぜかといいますと、顧客の困りごとを考えるときに多くの経営者が、「自社の事業に関連する範囲」で、顧客の困りごとを考えてしまうからです。そしてこれは事業発展を考えるうえで非常にもったいないことなのです。

これは具体例でご説明しましょう。

たとえば御社が文具やOA機器などの事務用品を販売する事業を営んでいたとします。この場合、納期を短縮しようとか、商品ラインナップを拡充しようとか、価格をがんばろうとか、顧客のニーズをくみ取るためにヒアリングを強化しようとか、顧客のニーズに合った商品の提案をしようとか、そういったことはお考えになると思います。

しかし、これで顧客の悩みや困りごとは解決するでしょうか? たしかに「事務用品」についての悩みは解決できるかもしれません。しかしながら、顧客が事務用品のことだけで悩んでいるなんてことは絶対にないはずです。

仕事内容そのものの悩みはここでは一旦除外するとしても、オフィスで働くうえで、空調の問題、オフィスレイアウトの問題、社員間のコミュニケーションの問題、整理整頓の問題、電磁波の問題、長時間のPC作業による疲労の問題、テレワークの実施方法についての問題、ソーシャルディスタンスについての問題…などなど、こういった様々な問題があるのではないでしょうか。

顧客のことを考え、彼らの困りごとを解決しよう!と考えても、「自社の事業を通して」と考えたとたんにそこから逸脱する顧客の困りごとが抜け落ちてしまうということです。

ここで重要なことは、自分たちの事業の目的を「事務用品を提供する」ということから「顧客のオフィス関連の困りごとを解決する」といったことのように、より根本的な顧客の問題解決につながるよう定義を変えることです。これを当社では『事業の目的をアップグレードする』と呼んでいます。自社の役割を一段引き上げるイメージです。

つまり、考える起点を「いま自社が提供していること(手段)」ではなしに「顧客が悩んでいること(目的)」とすることになります。この「事業の目的のアップグレード」が、自社の事業内容についての発想を広げることにつながるのです。

事実、当社のクライアント企業の多くが、この事業の目的のアップグレードを果たし、競合他社とガチンコの競争にならないユニークなポジションを手に入れています。

たとえば、

・歯をつくるだけでなく、歯科医院の総合的な経営支援を担う歯科技工所
 ・英会話の指導だけでなく、グローバルに戦える人間力と礼儀作法を授ける英会話スクール
 ・ペットをきれいにするだけでなく、飼い主の幸福度の向上を支援するペットサロン
 ・工場で使う治具や製造ラインの設計製造をするだけでなく、ロボットを使った自動化ライン導入による人材不足解消を支援する治具製造メーカー

などなど、事業の目的を一段アップグレードさせて顧客に深く関わる企業が数多く出ています。

この事業のアップグレードこそが、世の中でよく言われている「理念を落とし込む」ということにほかなりません。これは拙著でも触れましたが、理念を社員に唱和させても意味はなく、理念を自社商品・サービスにしっかり反映させた『品念』を持つことがなにより重要です。

顧客の根本的な問題解決につながる事業の目的をしっかり持ったならば、いま自社がやっていること(手段)だけでは不十分であることがわかります。本当に「顧客のことだけ」を考えたときに、その想いにしっかり向き合ったときに、自社が新たに打ち出すべきことはおのずから見えてきます。

御社の事業の目的は、顧客の根本的な問題解決につながっていますか?
 顧客を想ったときに、もっとやれると感じることはありませんか?