「特別ビジネス」の構築で利益3倍化を実現

  • TEL : 03-6822-5181
  • 〒103-0022
    東京都中央区日本橋室町1-11-12
    日本橋水野ビル7階

【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第169話:思いの強い社長が事業を伸ばすためにやっていること

 

「おー、これはもう事業転換というか、新事業立ち上げといってもいいぐらいですねー」― ただいま自社の「特別ビジネス化」に向けて新たなキラーサービスを構築されているF社長の言葉です。

当社では「いまある商品・サービス」にプラスアルファのキラーサービスを加えることによって、これまでよりも大きく儲ける仕組みづくりをお手伝いしていますが、それによって事業形態が大きく変わるところも少なくありません。

当社が提供しているのは「新規事業立ち上げコンサルティング」ではなく、あくまで既存の事業を『大化けさせる』ことを狙ったものですが、「より顧客に喜ばれる事業」を目指す中で結果的に顧客とのかかわり方が大きく変わっていきます。

この点は非常に重要なポイントで、ひとつの事業が軌道にのったらすぐに飲食店など現業とまったく違うことに安易に手を出して大失敗する経営者がよくいますが、いまやっていることを生かさない新規事業が往々にして失敗することは、バブル崩壊の折に多くの経営者が身をもって学んだことでもあります。

100%の精力と情熱を注ぎこんでなんとか軌道に乗せた1社目と違い、知識や経験がなく、情熱もそれほどなく、なんとなく隣の芝が青そうだと思って始めた新規事業がうまくいくはずがないのですが、「経営の基本は同じだし、なんとかなるだろう」と思ってしまう人が多いんですね。

当社ではそんな「もったいないこと」はお勧めせずに、いまやっている商品やサービスの提供の仕方を変えたり、商品やサービスをパッケージ化したり、おなじサービスでもコンセプトを変えて顧客にいままでと異なるメリットを提供したり…、とにかく既存の商売を「発射台」にしてビジネスを伸ばすことをお手伝いしています。

その際にとても重要になる考え方が、「事業の目的を一段引き上げる」というものです。

事業の目的とは、いまやっている商売がお客様の何の役にたっているか?ということです。

これを引き上げるというのは、たとえば散髪屋の商売であれば、「お客様の髪型をかっこよくする、いい感じにする」ということから「お客様の魅力を引き出す」という目的に引き上げるということです。

あるいは、散髪屋や美容院というところは、お客様は単に髪をなんとかしたいと思っているのではなく、「気分転換をしたい」とか、子育て中の主婦の方でしたら「家族と離れて一人の時間を持ちたい」という願望(目的)を持ってやって来ている人もいるでしょう。そうであれば、事業の目的は「究極の癒しの時間を提供する」と引き上げることができます。

現に以前のコラムでもご紹介した東京駅近くの散髪屋では「癒しのオアシス」というコンセプトでさまざまなリラクゼーションメニューを用意しており、平均単価が8千円を超えています。なかにはカットはせずに癒しメニューだけを頼みにくるお客さんもいて、実は私もその一人です。

当社のクライアント企業においても、この「事業の目的の引き上げ」からユニークな事業を展開しているところが数多く生まれています。

拙著でもご紹介した治具設計製造会社は「使いやすく品質のいい治具を提供する」という目的から「工場の生産性を高め人不足を解消する」との目的設定にアップグレードした結果、中小企業のオペレーションの半自動化を支援する事業に乗り出しました。

ある歯科技工所では「よい歯(補てつ物)を迅速に安く提供する」という目的から「歯科医院の経営支援と啓蒙を通じて、国民のデンタルIQを底上げする」という目的設定に引き上げた結果、歯をつくるだけでなく様々な歯科医院に対する経営支援プログラムを提供するようになりました。

潤滑油販売会社では「顧客の製造設備のパフォーマンスと寿命をのばす」という目的を掲げ、コンサルティングなどのサービスメニューを立ち上げられました。

他にも様々な例があり、詳しくは当社セミナーにてご説明していますので、ご興味のある方はぜひご参加いただければと思いますが、このように事業の目的をアップグレードする際に、時に「あるブレーキ」がかかることがあります。

そのブレーキとは、一言でいうと「社員の抵抗」ということになります。その抵抗の言葉には様々なものがあります。

そんなことやったことない
 うちにはそんなことをやる能力はない
 やりたくてもノウハウがない
 みんな手一杯で人が足りない
 うちはエンドユーザーにはアプローチできない
 この業界でそれはやりにくい
 それをやったら既存顧客からクレームがくる

などなど、いろんな表現でいまやっていることを変えることに抵抗を示します。

社員レベルでは基本的には現状を変えたくないという心理になることはある種当然であり、このような抵抗があっても何も驚かないのですが、問題はこれを社長がどうささばくかということです。

結局は「社長の理念がどこまでのものか」ということにかかってきます。社長が真に顧客に貢献しようと考えていれば、このような社員の抵抗など気にせず、できる方法を考えればいいだけのことです。社長が本気であれば社員はついてきます。

社長の思いがそこまででなければ、コンサルティングはただの「社員研修」と化します。会社の重要な意思決定を社員に任せてしまい、結果的に何かが生まれることはありません。

結局、事業の目的を引き上げてユニークな事業を展開できるかどうかは、すべて社長の資質にかかっているということになります。社長の理念がすべてなのです。

御社はいまやっている事業内容で社長の理念を実現することはできますか?社員の顔色を気にして会社の可能性を狭めていませんか?

理念実現のために自社の可能性をどこまでも追及する経営者を、当社はこれからも応援していきます!