「特別ビジネス」の構築で利益3倍化を実現

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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第234話:経営者が捨てるべき「ナンバーワンか、 オンリーワンか」という愚問

先日、知人と飲んでいるときに「歴代のシングル売上ナンバーワンは、いまだに『世界でひとつだけの花』らしいよ」と言われ、少々困惑してしまいました。

シングル売上という言葉がもはや死後だと思うのですが(苦笑)、それよりも、この20年の間にもっとマシな歌はなかったのかと思った次第です。

すみません。別にSMAPやSMAPファンをディスるつもりは全くないのですが、こんな歌をカラオケで歌っているから日本はずっとパッとしないんだと言いたい気持ちにかられます。

いや、再度すみません。この歌をカラオケで歌ったことがないかと聞かれれば…あります(泣)。ですが、やっぱりこの歌が大ヒットするような日本の状況はマズイと思うわけです。

この歌のどこが気に入らないかというと、言わずもがなかもしれませんが「ナンバーワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン」という部分です。

この主張について「なにを甘えたことを…」と言いたくなるのです。

いや、気持ちはわからないではありません。競争、競争と世知辛い世の中、強者と弱者の格差は広がり、SNSでやたら成功者の姿を見せられる日々。結果が出ない人からすると「あなたは元々特別だ」なんて言われたら救われる気持ちになることでしょう。

世界で宗教が必要とされる理由もここにあるのではないでしょうか。努力しても報われるとは限らないこの世界において、救いを求めることはなんら悪いことではないと思います。

しかし、これがビジネスや経営に限っていうと、そんな言葉で救われた気分になっていては非常にマズイ!と言いたいわけです。

ビジネスの世界において、どの会社も「元々特別なオンリーワン」かというと、そんなわけはありません。だれもが元々特別なのであれば、競争など生まれずみんな儲かるはずです。

企業のホームページによく「当社が選ばれる理由」というページがあります。仕事柄頻繁に企業のこういったページを拝見することがありますが、多くの場合そこにはどこの会社も言っているようなことが書かれていたりします。それだけ「特別な存在」になることは非常に難しいということです。

本来個性的であるはずの個人個人が、同質化を求めるような教育を受けるうちにどんどん同じような選択をするようになるのと同様に、ビジネスにおいても「自分たちは◯◯業(◯◯屋)だ」と定義したとたん、その業界や業態と同じようなことをやるようになります。

つまり、ビジネスにおいては「元々特別」なんていう世界はなく、自分たちがしっかりと意図して、顧客にとって「特別な存在」になるように仕掛けていかなければならないということです。

そういった考えで当社はクライアント企業の「事業の特別化」をご支援しているわけですが、ここで強調したいことは「事業の特別化」は単なる手段であり、目的は別のところにあるという点です。

いくら同業他社がやっていないユニークな新規事業や、新商品・サービスを立ち上げたとしても、それが全然顧客に刺さらずに泣かずに飛ばずに終わったとしたら、何にもならないということは言うまでもないことです。

ではなんのために「事業の特別化」をするかというと、決まっています。『ナンバーワンになるため』です。

ナンバーワンといって、売上や市場シェア、販売数などにおいて一番になれと言っているのではありません。むしろ売上を追求する経営は自らの首を締めるだけのことです。(このあたりは拙著「儲かる特別ビジネスのやり方」で詳しく解説しています)

では何のナンバーワンを目指すべきなのか。それは「事業の目的におけるナンバーワン」です。

事業の目的とは、自分たちが事業を通して実現しようとしていることです。当社のクライアント企業の例で言うと;

・製造ライン製造H社の目的は「製造現場の自動化・省人化」
 ・歯科技工W社の目的は「歯科医院の高収益経営の支援」
 ・潤滑油販売H社の目的は「機械設備のパフォーマンス最大化支援」
 ・ペットサロンB社の目的は「飼い主の幸せの実現支援」
 ・英語教室T社の目的は「日本精神を持った英語話者の輩出」

ということになります。

こういった「特定の目的」における第一人者になることが、経営において「ナンバーワンになる」ということであり、その道で天下を獲るということを意味します。

そして、その道の第一人者になるということは、当然の結果としてその会社は顧客にとって「第一の選択肢」ということになり、かつ他社には変えがたい「オンリーワン」な存在となるということです。

結論、ことビジネスにおいて企業は顧客にとってのナンバーワンを目指すべきことは当然であり、そしてその手段としては「事業の特別化」によりオンリーワンな存在になるしかありません。

その道からはずれ、安易に「低価格でナンバーワン」を目指してしまうと自社の経営が苦しくなることは当然のことであり、顧客にとって本当の意味で特別な存在になどなることはできないのです。

御社は実現すべき「特定の目的」をちゃんと定めていますか?
 そしてその道で天下を獲るための気概と戦略を持てていますか?