「特別ビジネス」の構築で利益3倍化を実現

  • TEL : 03-6822-5181
  • 〒103-0022
    東京都中央区日本橋室町1-11-12
    日本橋水野ビル7階

【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第241話:自社の商品はそのままで売上を倍増させる方法

 

「思わぬものが売り物になるんですねえ。自分達だけでは絶対にこの発想には辿り着けませんでした!」── 製造業O社の社長が感心したようにこうおっしゃいました。

製造業一筋、創業100年を誇る歴史ある企業で、業績も安定されていますが、この先10年、20年を考えたときに「このまま同じことを継続したのでは先がない」とお考えになり、当社とのプロジェクトを開始されました。

コンサルティング初日、同社に着くなり工場を案内していただいたのですが、現場を見させていただいて私はすぐに「これは!」と思いました。というのも、同社の工場には「売り物候補」がたくさん転がっていたからです。

もちろんこれは同社の在庫や仕掛かり品がたくさんあると言っているのでも、同社の機械設備を勝手に売ろうと思っているのでもありません。この会社には製品の他に今後売っていけそうなものがたくさんあったのです。

それは何かというと、O社がこれまで「いい製品」「競争力のある製品」をつくるために確立されてこられた「ノウハウ」です。具体的な内容はまだ公開できませんが、製造業が自社の生産性を大きく向上させるためのノウハウや情報がたくさんあることは工場を拝見して一目でわかりました。

「え? そんなノウハウを公開したらダメでしょう?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。実は自社の商品ではなくノウハウを販売している例はいま非常に増えているのです。

たとえば、あまり知られていませんが、婦人服メーカーのワールドは自社が培った「店舗系ビジネスのノウハウ」を外販しています。内容は店舗づくり、商品開発、仕入れ、販売、社員教育、バックオフィス業務など、多岐にわたります。

いま話題の中川政七商店も、経営難に苦しんでいる工芸品関連業者に向けて、ブランディング構築のコンサルティングを実施しています。

どちらも、自分達が自社商品を売るために培ってきたノウハウを商品にしているということになります。いわば、自社に蓄積された「知恵の外販」です。

他にも、料理店が料理教室を開いたりレシピを販売したりするのもそうですし、断熱に強い工務店が他の工務店にその技術を指導するのも「知恵の外販」です。

そして、売れるものは無形の知恵だけではありません。たとえば有料会員向けに「材料の共同購買」を実施したり、販売した商品を顧客が楽しめる有料イベントを実施したりと、いわば「体験」を販売するパターンもあります。

何が言いたいかというと、自社製品を販売するだけでなく、その周辺のビジネスをつくることは多くの会社にとって可能だということです。つまり、「自社の製品を売って終わり」では商売的に非常にもったいないのです。

同業者や仕入れ先など、従来は自分達の顧客と考えていなかった人たちが顧客になる可能性があります。課金ポイントも「商品を売ったら終わり」ではなく、もっといろんな形で課金する道があります。とにかく「いままでの商売のやり方」に固執せずに柔軟に考えることです。

モノをつくること自体は「作業」です。しかしその「作業」の裏側には必ず「知恵」があります。それは自分達にとっては当たり前のものかもしれませんが、それを「喉から手が出るほど欲しい」と思う人は世の中に必ずいるのです。

まずは自分達がどのような「無形の資産」を持っているかを棚卸ししてみてください。自分たちは◯◯屋だから持っているのが当たり前…そんな空気のような存在の無形ノウハウは必ず御社の中に存在しています。それを「売り物」として有形のカタチにすることで、商売の幅はぐっと広がります。

皆さんが持っている「知恵」を広く活かす道を探求していきましょう。