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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第3話:キラーサービス構築に不可欠な「競合の理解」の重要ポイント

「御社の一番の競合はどこですか?」—あらたにコンサルティングをするクライアント先にこの質問を投げても、全然名前が挙がってこない場合があります。「それはないだろう」と言われる経営者もいらっしゃるかと思いますが、では「御社の競合優位性、つまり御社が競合より優れているところは何ですか?」とお聞きした場合、これを明確に言語化できていない経営者の方々が意外と多いのです。

秀でた経営戦略や優れた商品・サービスで競合他社を圧倒し、業界でNo.1もしくはオンリーワンのポジションを築いている企業でしたら話は別ですが、業績はじり貧もしくは長年横ばいといった、成長軌道に乗れていない企業ほど、競争相手のことが全く見えていないというケースが大半です。

ビジネスはあくまで競合・ライバルとの闘いです。もっとはっきり言うと、競合とのお客様の奪い合い、仕事の奪い合い、お金の奪い合いです。私たちが資本主義社会に生きている以上、ここから逃れることはできません。理念や志だけでは食べてはいけないのです。もちろん、お金儲けのことだけ考えていてはやがては誰もついてこなくなり、市場から追い出されます。論語と算盤とはよく言ったもので、理念とお金儲けの仕組みの両方が必要なのです。

ではどのようにして競合のことを調べればいいのか?―実はこの質問自体に問題の本質が表れています。もし御社が新規顧客や、既存顧客であっても新規案件の獲得にしっかりと取り組んでおられるとしたら、当然そのお客様から競合についての様々な情報が出てくるはずなのです。

お客様になにか新しい提案をした際、しっかりとコミュニケーションが取れていれば、現状のサプライヤーのどこがよくて、どこが不満かと言った話は当然でてきますし、御社に切り替わったとしたらなおさら、どこがポイントだったのか、競合と比べてどこがよかったのか、といった話は容易に吸い上げられるはずです。

「うちの営業マンはそういう話は聞けていない。」と自社の営業のせいにするのは早計です。たしかに自社製品を訴求するだけの営業のやり方では成果はでませんし、弊社でも営業マンを使った情報収集のやり方はしっかりご指導しています。

ただし、前提として非常に重要なことは、「いまだ解決されていないお客様の困りごとを、当社が解決するぞ。」という、自社の都合を越えた、本当の意味での「お客様第一主義」が会社に根付いているか、経営の根幹となっているか、ということです。

企業理念、経営戦略、商品・サービス開発、営業戦略、、、どれをとってもその根底に「お客様に向き合う」という一筋の考え方が通っていれば、「単に競合と違うことをする」という薄っぺらい差別化ではなく、まだ誰も実現できてない、顧客の現状の困りごとを解決する商品やサービスを提供するということにつながり、これが御社を業界における独自ポジションへと引き上げていきます。

ポイントは、競合を調査しなくても、「お客様第一主義」でお客様と向き合っていれば、いやでも競合の情報は入ってくるということです。これを吸い上げ、自社の経営に活かしていくことが、まさに経営者の役割であり、御社を独自ポジションに導くキラーサービスの構築においても不可欠な要素となります。

「うちには競合はいない。うちのお客様はみんな当社一筋だ。」過去、こうおっしゃる社長もいらっしゃいました。しかし、実際は少数の昔なじみのお得意様との商売に留まり、じり貧の経営をされていました。

「お客様第一主義」で、取引を開始していない見込み顧客にもしっかりアプローチし、お役に立てるであろう商品やサービスを提案する。もし取引に至らない場合はその理由もしっかりと把握し、自社の経営に活かしていく。そのプロセスが仕組みとして回っていれば、競合の理解は嫌でも進みます。

これは、お客様の存在を無視した、「競合対策」のための調査とは似て非なるアプローチです。

御社は、「お客様第一主義」の実践の中で、競合の理解でできていますか?