「特別ビジネス」の構築で利益3倍化を実現

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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第180話:新規事業で成功する社長と失敗する社長

 

「もうそろそろ踏ん張りが効かなくなってきました。新しい事業を考えていかないとまずいです…」──  先日当社のオンラインセミナーにご参加された、都内で建築関連の会社を経営されている社長が、その後ご相談にお越しになりました。

東京五輪の特需が一服したことに加え、コロナ禍もあって外国人による不動産投資も下火となった結果、都心のマンション建設も目に見えてブレーキがかかってきているとのこと。

「もともと需要のピークは終わっていることはわかっていたんですけどね。もうこうなるといよいよ違う動きをしないと…」と困った表情を浮かべておられます。

「新規事業と考えてしまうと苦しいですよ。もっと楽に考えましょう」とお伝えすると、「えっ、そんなもんですか?」と、複雑な面持ちで続きの言葉を待たれました。


 

これだけ経営環境の変化が激しくなると、当然のことながら新規事業を立ち上げる必要性は非常に大きくなります。昔であれば、プロダクトライフサイクルの終焉というものは時間的にゆっくりと緩やかにやってくるものでしたが、いまの時代は売れていたヒット商品やサービスが突然飽きられるという事態が起こるものです。

経営者にとって全くうかうかとしていられない時代となったと言えそうですが、かといって新規事業がそうやすやすと成功するかと言えばもちろんそんなことはなく、感覚的に言って世の中の新規事業の8割から9割は「失敗」に終わっているのではと思っています。

ですから、「新規事業ってうまくいきますかね?」なんてもし聞かれたとしたら、これはもう「わかりません」としかお答えようがないのですが、「これをやってしまったら失敗する確率は高いだろう」というパターンは確実にあります。

その代表的なものが、「本業とまったく関係ないことをやってしまう」というものです。

一番わかりやすい駄目な例が、経営者がちょっと本業で儲かったからといって、飲食店や美容院を開業するパターンでしょう。

その経営者自身はなんのノウハウもなければ、同業と一線画す革新的なアイデアがあるわけでもなく、さらにはその事業にかける想いも本業でやっている人のレベルにはほど遠ったりしますから、うまくいく方が不思議なぐらいです。

このように、「本業以外にお店を持っている」というおしゃれさ(?)を手に入れたくてはじめてしまう新規事業は論外としても、隣の芝の青さに目を引かれて本業で培った知見・ノウハウ・人脈といった強みがまったく生かせない異業種で新規事業を始めるのは非常に筋が悪いやり方と言えます。

「新規事業」という言葉から連想して、市場や業界、あるいはいまの商品サービスを大きく変えないといけないというイメージを持ちがちですが、実は現業からそれほど大きく変えなくても立派に新規事業として機能するやり方があります。

それが当社が推進している『特別ビジネス』ということになりますが、ビジネスの切り口を変えるだけで、いま売っている商品はそのままでも大化けする可能性は大いにあります。

拙著『利益3倍化を実現する“儲かる特別ビジネス”のやり方」でもいくつか事例をご紹介しましたが、たとえばオイル販売を営んでいたF社は、「オイルコンサルティング」というサービスを付加することで、事業の目的を従来の「オイルを販売する」というものから「顧客の設備のパフォーマンスを向上させる」という目的に飛躍させることができました。

あるいは治具製造会社を営んでいたH社が中小企業向け「“半”自動化ライン設計製造事業」に転身したのも、従来の「製造ラインを流れをスムーズにする治具設計製造」にプラスアルファで自動化ロボットを組み込むことで事業の幅を大きく広げた事例となります。自動化ロボットの知識は新たに身に着けていただきましたが、事業の肝心かなめの「ライン設計」は自社の強みをそのまま生かしたかたちです。

どんな事業においても「見落としている領域」というものは必ず存在します。いまやっていることを少し形を変えたり、イレギュラーなサービスを付加することで、いままでと違った景色が広がる可能性は大いにあるのです。

そんな領域を当社では「手つかずのシンデレラゾーン」と呼んでいます。まだ誰も目を向けていないが、光を当てれば大きく儲かる領域です。ガラスの靴を履くことで、いまの事業の姿を大化けさせることができるのです。

激変の世の中を迎えていますが、そんなときほど顧客の「未解決の困りごとやニーズ」は必ずでてきます。そこに手を差し伸べてくれる存在の出現を顧客は待っています。

ぜひ現業にプラスアルファの特別対応を加えて、御社なりの『特別ビジネス』を世に打ち出してください。必ずや顧客に後押しされ、応援される事業になるはずです。ここに経営者であることの醍醐味があります!