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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第189話:社員が動かない…そんな会社への処方箋

 

「うちの役員たちがもっと積極的に考えて動いてくれればいいんですけどねえ…」── コンサルティング初日にF社長から出た言葉です。

自分がいちいち指示をして役員や社員を動かしても、彼らが指示待ち人間になるだけなのでじっと我慢をして待っているが、いつまでたっても彼らは動いてくれない…。そんな悩みをお持ちの社長は多いと思います。

鳴かぬなら、鳴くまで待とうホトトギス…しかしいつまでも待っていられないので、結局社長がやってしまうパターンも多いかと。

そのような会社にぜひやっていただきたいことがあります。それは、「この会社を将来どんな会社にしたいか」について幹部と徹底的に話し合う、ということです。

それを経営幹部にぜひ聞いてみてください。沢尻エリカの「別に…」ではないですが、本当に冷めたコメントしか出てこないかもしれません。もしそうだとしたら、それがいまの御社の体温ということですから、そこは一旦受け止める必要があります。

ではどうしたら組織の体温を上げることができるのか?

まず確認したいことは、社長の体温は一体何度なのか?ということです。

「いや、コロナでしょっちゅう計っているよ。平熱だよ」ということではもちろんありません(笑)。社長が持つ、会社や事業にかける思いは、社員の体温を上げるに足るものですか、ということです。

役員や社員の熱が冷めきっているとしたら、社長の熱は3桁、1000度や2000度といったレベルでないと、とても社員の体温を上げるに至らないでしょう。

あと3年でこんな会社にしたい!

もっとお客様に喜んでもらえるように事業を変えたい!

新規事業を立ち上げて第2、第3の柱をつくりたい!

社員がもっといい暮らしができるように収益体質にしたい!

このように、社長としてこの会社をどうしたいか、なにを実現したいかをはっきりイメージし、それについて思いをめぐらせることです。

端的にいえば「ビジョン」ということになりますが、なにを想像すれば社長の心が熱くなるか、ぜひご自身の胸に聞いてみていただきたいのです。

そのうえで、ぜひそれを役員や社員の方々に熱く語ってください。もし役員レベルでその社長の考えに賛同できないようであれば、それは役員の人選が間違っているということになります。「第49話:社長と考えの合わない社員がのさばる訳」でも書いた通り、たとえ能力が高くても事業にかける思いが違っていれば、その方には別の道でがんばってもらった方がお互いのためです。

そして、ここが大事なところですが、その「目指す姿」の実現に向けて何より肝心なことは、まず社長が「行動」を起こす、ということです。

もちろん、社長が手足を動かすということではありません。役員や社員に対して「方針を示す」のです。その方針に沿って社員に考えさせ、提案を出させる。その提案も踏まえて社長が即断即決をする。そうやって実際に社内に「渦」を起こすことが重要です。

即断即決と書きましたが、これをゆっくりやっていると「渦」は起きません。何事も立ち上がりのフェーズでは初速をあげていく必要があるのです。

スピードを上げることで、まず社長の本気度が伝わります。「いつかはやりたいなあ」といった願望ではなく、うちの社長は本気でやるつもりだと。そのスピード感が社員に熱を伝えます。

また、ここが見落とされがちな点ですが、意思決定のスピードを上げることで「決定の質」も上がっていきます。よく「大事なことだからゆっくり考えよう」と言う方がいますが、ゆっくり考えてしまうと「いらぬ考え」ばかりが出てきてしまいます。「やらない理由」もどんどん出てきたりします。

よく思考力のある人のことを「頭の回転が速い」といったりしますが、これは頭がいいから頭の回転が速いのではなく、頭を速く動かすからいい考えが浮かぶのです。仕事ができる人ほど仕事が速いのはこの理由からです。

社員が動かないのは、動かなくても済む環境が出来上がっているのではないでしょうか。まずは社長が「即断即決」の姿勢を示し、それを業務の仕組みにも落とし込んでいけば、社員の思考と行動は嫌でも速くなっていきます。

会社が目指す姿が明確になっていて、その実現に向けてやるべきことを即断即決で実行できている。そんな会社がよくなっていかないはずがありません。実にシンプルな経営の原理原則です。これをゆっくりやっていては船は一向に進まないという話です。

やりたいことはいち早く着手し、スピードを上げて速く行動する。この『早』と『速』が経営に浸透されれば、経営の質は格段に上がります。

思いの実現に向けて、まずは社長が「即断即決」で進んでいきましょう。