【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第221話:新年にあたり社長が考えるべき「一年の計」とは?

さて、今年も残すところあと数日となりました。年末年始のまとまった休みは自社の事業を根本的に見直す非常にいい機会です。
「一年の計は元旦にあり」と言ったりしますが、私のお知り合いの経営者の方々の中にも、「三が日の間に誰もいない事務所に出てきて、じっと事業のことを考える」という方が結構いらっしゃいます。
新しい年を迎えるにあたって、一年の事業の構想や計画について考える。これは一見良いことのように思えますが、実はこれをやっていい会社とやるべきでない会社があります。
「は? 一年の事業構想を考えるべきでない会社なんてないだろ!」とまた思わせてしまったかもしれませんが、一年の計を考えていい会社とダメな会社があるんです。
正確には、一年の計を考えていればいい会社と、一年どころか三年の計を考えないとマズイ会社があるということです。
そこの境目は何かというと「事業モデルがしっかりしているかどうか」ということになります。
自社の事業モデルが他社と十分に差別化できており収益性がしっかりしているのであれば、その事業を伸ばす方策を考えればいいですから、基本的には現行の事業モデルの延長線上で新しい施策を考えて問題ありません。
たとえば新しい売り方を試してみようとか、商品をリニューアルしようとか、営業マンを増やしてエリア拡大を図ったり、機械を買って生産性を高めたり…。こういった施策は比較的短期でできますから、「一年の計」で十分カバーできます。
しかしながら、現行の事業モデルではすでに収益性の確保が厳しくなっている、あるいは先行きが危ういという会社の場合であれば、上記のような「売り方」や「商品開発」のレベルで考えるのではなく、「根本的にいまの事業をどう変革するか」というレベルで考える必要があります。これは必然的に「二年三年の計」となるはずです。
何事もゴールからの逆算で思考する必要があります。3年後のオリンピックで金を狙うのであれば、2年後はどういう状態にあるべきで、そのためには来年は何をすべきか…このように考えるのが当たり前であり、直近で開催される国内大会での成績などどうでもいいことのはずです。
同様に、事業を大きく変える必要性に迫られている会社であれば、目先の売上のことなど小事です。それよりも、一刻も早く事業モデルを変革すべく中長期的な視点で戦略を組み立てなければなりません。「目先の売上がないとキャッシュが回らないから目先の売上を取る」という発想からいい加減抜け出し、「目先の売上がないとキャッシュが回らないほど収益性が低いから、いよいよ根本的に事業を見直そう」と目を覚ますべきなのです。
これは当社がいつもお伝えしている「自分たちは何屋であるか」を考えることと同じです。このまままんじゅう屋をやっていていけそうなら新しいまんじゅうのアイデアや通販のやり方について考えればいいですが、ただのまんじゅう屋では駄目だと判断するのであれば、普通じゃないまんじゅう屋、あるいはまんじゅう屋から進化した新しい◯◯屋を目指さねばなりません。
「自分たちは何屋を考える」ということは、すなわち「自分たちの志は何か」と考えることでもあります。そもそも自分たちのやるべきことは何なのか。どのような存在意義を獲得していくのか。
この「そもそもの問い」の答えは社員がいくら優秀であろうと出せるものではないでしょう。案は出してくれるかもしれませんが、決めるのは社長です。社長の志がすべてです。
さて、新しい年を迎えるに当たって、皆さんはどのような志を立てますか。どこまで背伸びをしますか。大きく背伸びをすれば、それだけ会社も成長します。
さあ、楽しみな一年の幕開けです。