「特別ビジネス」の構築で利益3倍化を実現

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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第237話:値上げに抵抗する社員をどうするか?

「値段を上げろとずっと言ってるんですが、社員がどうしても嫌がるんですよ‥」── 美容系ビジネスを営むS社長は「困ったもんだ」といった表情でこう言われました。

S社長に限らず、値段を上げようと社内で提案したところ社員に反対されたという社長は当社のクライアント先でも複数いらっしゃいます。

たとえば施術系のビジネスをやっているD社でも、ずっと先まで予約が埋まっている人気セラピストについて値段を上げようと社長が提案したところ、「そんなことしたら大問題になります!」と猛反対されたとか。

実際、過去に値上げを試みたところ、常連客に「そんな人だとは思わなかった!」と言ってきた人もいるとかで、社員の中では「値上げはNG」となってしまっているとのこと。

いったいどんな人だと思っていたのかその常連客に聞いてみたいところですが、わざわざそんなことを言ってくる客は、応援していたアイドルの卵が売れてきたら逆恨みをするような自称ファン(?)と基本的には性質は変わりませんので、相手にする方がおかしいというものです。

とはいっても、やはり直接お客様と接する社員からしたら、いままでの顧客から「嫌われたくない」という意識が働き、値上げに賛同できないということでしょう。

この「嫌われたくない」という心理は経営にとっては非常にマイナスとなります。なぜなら戦略とは「捨てること」だからです。事業戦略上「誰に嫌われるべきか」ということを定めておかなければ、結局「誰からも好かれない」ということになりがちなのです。

もちろん、「松・竹・梅」というように複数の価格帯を用意し、幅広い顧客層を取り込むことは、それぞれのサービス設計をちゃんとやれば問題ありません。現に、飛行機のエコノミー・ビジネス・ファーストクラスのように、段階的プライシングが成立しているサービスは多々あります。

ここで問題にしているのは、「ビジネスクラスなんてつくったらエコノミークラスのお客さんが怒る!」というわけのわからない理由で高価格帯の商品やサービスの設定を躊躇している企業のことです。

また、社員が値上げに抵抗する理由として、前述の「いままでのお客様に嫌われる」というもの以外でよく聞くのが「そんな高い値段では誰も来ない」というものです。

これは、失礼な言い方にはなりますが、エコノミーにしか乗ったことがない人が、ファーストクラスの価値が理解できないようなもので、普段安いものにしか接していない人に高いものの価値はわかりようがないという話です。

航空券の例でいうと、「そんな100万円以上する航空券を誰が買うんですか!」と言われても、現に買う人はたくさん存在しますし、もっと言えば、そういった人たちがいるおかげで企業は利益を上げられるのです。

事実としてほとんどの航空会社ではファーストクラスとビジネスクラスの利益が全体の7割から8割を占めるのですが、これは少し計算すれば腑に落ちることです。

ファーストクラスが120万円で10席、ビジネスクラスが60万円で90席、エコノミーが10万円で200席、これらがすべて埋まった場合、ファーストクラスとビジネスクラスで全体の利益の利益は全体の77%となります。

「ファーストやビジネスがそんなに埋まるわけない!」と抵抗したい人はいると思いますが、現にこの77%という数字は実際の航空会社の収益分布とマッチしているので、事実埋まっているということになります。

それでも100歩譲って、仮にファーストとビジネスが半分の席しか埋まらなかったとしても、利益は全体の66%となりますから、もうどう考えても高価格帯を用意しない理由にはならないのです。

この数字を考えても、まだ御社はエコノミーだけやりますか?という話なのですが、もし自社がエコノミーだけやったとしたらどうなるか…。これも簡単な話で、お金を持っている顧客層は、高価格帯を提供している他社に流れていくだけのことです。

結論、社員が嫌がろうがなんだろうが、経営者としては高価格帯を用意しない手はないのです。

もちろん、単に価格を上げれば済む話ではありません。お客様から高い価格をいただく以上、これまでの商品やサービスを大きく上回る価値を提供する必要があることはいうまでもないことです。ただ、価格を上げようとするからこそ生まれる発想は必ずあります。これは経験しないとわからない世界です。

はじめは自信が持てないかもしれません。でも頑張って背伸びをするのです。つま先立ちで必死の思いで高いお金を払ってくださった顧客の要望に応えていく。それが企業の実力を高め、事業を飛躍させることにつながります。

航空券に限らず、世の中にはプレミアムと呼ばれる価格帯の商品やサービスがたくさんあります。そしてそれらを選ぶお客様はいやいや買っているのではありません。安い選択肢もあるにもかかわらず、喜んで高い値段を払っているのです。

質をともなう値上げは世の中を豊かにします。思い切って単価を上げた暁には、いままで想像もしていなかった世界が見えてくるはずです。いいお客様と出会い、彼らから学んでください。安値に安住して自分たちの可能性を狭めないでください。

自分たちの殻を破り、思い切って高い値段をつけて背伸びをする企業を当社は応援します!