「特別ビジネス」の構築で利益3倍化を実現

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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第242話:売るものを「絞れない」社長への提言

 

「そこまで商材を絞って大丈夫でしょうかあ…? 売れるものはもっといろいろあると思いますが…」── クライアント先企業との打ち合わせ時に、社員からそんな不安の声が出てきました。

お客様によってニーズはまちまちだから、商材を絞って営業をかけるのはもったいない…というわけです。

売れない人や企業が持つ代表的な特徴のひとつに、この「売るものを絞れない」ということがあります。そんな企業では「うちはいろいろやっています」「◯◯全般です」「お客様のニーズをお聞きして…」といった言葉がたびたび口にされます。

なぜ「◯◯全般」や「いろいろやっている」という言葉では売れないのか。その答えはシンプルで、その言葉は「何も言っていないに等しい」からです。

たとえば整体院が「体の不調全般」とか「からだの歪みを治します」といくらアピールしても、単に「うちは整体院です」と言っているのとほぼ同じです。

それでは物足りないので「長年の実績」とか「地元密着」「親切丁寧」などと何か付け足してみても、やはり「ほぼ何も言っていない状態」には変わりません。

「整体院」なるものがまだ非常に希少な存在で、めったにないということであれば問題はないのですが、そうでないならば、お客様を呼び込むためにはやはり何か言わないといけないわけです。

そして、顧客獲得のために「何か意味のあること」を言えるようにするためにやるべきことが、「売るものを絞る」ことです。

絞るということは当然ながら「何かに特化する」ということです。言い換えれば、「ニッチなプロフェッショナルを目指す」ということになります。

たとえば整体院であれば「首の痛み専門」や「O脚専門」というように、ニッチな領域で「特別な存在」を目指すということです。

ここで大事なことは、「首の痛みも得意」ということではなく「首の痛み専門」とすることにあります。思い切って他の領域を捨てることが必要になるのです。

なぜそこまでしないといけないのか。その答えはシンプルです。それは、そうしないと首の痛みで本気で悩んでいる人に見つけてもらうことも信頼されることもできないからです。

これは単にマーケティングのことだけを言っているのではありません。「実力をつける」という観点からも絶対に絞った方がいいのです。

この例でいうと「首の痛み専門」と謳ったからには、当たり前ですが当人の意識は「首の痛みを治すこと」に集中します。四六時中そのことを考えますし、意識にアンテナが立ちますから、必要な情報がどんどん集まります。結果、その道の第一人者になれる道が開けていきます。

これが「体の痛み全般」と言っていたのではどうでしょうか。意識が分散しますし、やることも非常に多くなります。どうしても「広く浅く」になってしまい、突出した存在になることは難しくなります。要は普通の人で終わるということです。

これは私のような経営コンサルタントにも全く同じことがいえます。私は「キラーサービスを構築して利益3倍化を実現する専門家」です。そのテーマで本も出していますし、実績もそのテーマで積み上がっています。

ところが私の専門を「経営全般」としてしまったら話は大きく変わってきます。まず本を書こうにも「経営全般」というテーマでは書けません。そんな本を書いていい人は稲森さんや永守さんクラスの経営者に限られますし、私が書いたとしても誰も読まないでしょう。これは本に限らず営業でもマーケティングでも同じです。私がそんな広いテーマでいくらアピールしても、見込み客に見つけてもらうことも非常に難しいのです。

これと同じ過ちを多くの企業がやってしまっています。せっかく自社固有の強みがあるのに、それを全面に押し出すことなく「なんでも屋さん」の見せ方にしてしまっているのです。

「無難」「常識」「手広く」「お客様に合わせて」…売れない企業が持つ言葉です。「もっと売りたい」とは思いながらも、自分たちが何かで突出した存在であると宣言することはためらうという矛盾を抱えています。この矛盾を解消しない限り、ブレークスルーは起きずに泣かず飛ばずで終わることになります。

何かで突出した存在を目指すか、それともよくある一般的な会社でいいのか。それはひとえに経営者の志次第です。志があれば普通ではいられないはずだからです。