【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第243話:儲かっている事業が共通してやっていること

「えー! 売れる人は皆こんなことを考えてやってるんですか…?」ークライアントにセールスストーリー構築のステップをご説明していた際に出てきた言葉です。
セールスストーリーとは、見込み客の心を動かすための「筋書き」であり、セールストークをつくるための「考え方」や「作戦」のようなものです。
まだこちらの商品を買っていない見込み客というのは、基本的には「それは今の私には必要ない」と思っています。もし必要だと思っていたらすでに買っているはずです。
もしかしたら「欲しいなあ」「あったらいいな」ぐらいは思っているかもしれませんが、いずれにしても購入という行動に出ていないのですから、「いまは買う必要がない」という「常識」、あるいは「思い込み」を持っているわけです。
そんな思い込みを持っている相手に対して、いくらこちらの商品のメリットを説明したところで相手の心は変わりません。「売り込みされている」と思われるのがオチです。
皆さんも「もう生命保険は十分かけているから必要ない」と思っているところに、保険の営業マンが自社商品の説明をしてきたらどうでしょうか? ほとんどの人はちゃんと聞こうとは思わないのではないでしょうか。誰だってそんな「セールストーク」は聞きたくないのです。
「自分には必要ない」と思っている相手に対して語るべきものは「商品説明」ではなく、「相手の常識を崩すストーリー」です。そこを理解していないためについ一生懸命自社商品のことを語ってしまい、労力をかけている割に売れないという人が非常に多いのです。
そんなセールスストーリーを考える際に非常に重要な「ビジネスの本質」とも言える考え方があります。それは『すべてのビジネスは悩みの解決である』ということです。
そうお伝えすると「確かに悩みを解決するビジネスは強いですが、ビジネスはそれだけではないですよね?」といった声が上がったりするものですが、ビジネスというのは例外なく全てが悩みの解決なのです。
たしかに何か新しいものを買うときには、別にいま悩んでいるわけではなくて、いまよりも便利になるからとか、楽しいから、といったポジティブな理由で買うということはあります。
たとえば今やほとんどの人がスマホを使っていると思いますが、別にガラケーで悩んでいたからスマホに変えたんじゃない、という人がほとんどだと思います。
しかしです。もしいま仮にスマホがこの世からなくなったとしたらどうでしょうか?
外出先でメールが送れない…
LINEができない…
電車でやることがない…
目的地に着けない…
このように、悩みが噴出します!(笑)
もっとエンタメ的なものでも同じです。
たとえば、ディズニーランドに行くのは楽しいからであって、悩みを解決するために行くのではない!と思うかもしれませんが、これも同じなのです。
他の遊園地やテーマパークではなく、ほかならぬディズニーランドに行くのには理由があるはずです。
たとえば、ディズニーランドでは他のテーマパークより「非日常感」が味わえるとか、キャラクターが可愛いとか、キャスト(スタッフ)が親切で明るいとか、いろいろあるでしょう。
そして、そんなディズニーランドが閉園になってしまったとしたら、
もうあの世界観に浸れない!(泣)
もうミッキーに会えない!(泣)
もう現実から逃げられない!(泣)
…涙の嵐です(笑)。
伝わっていますでしょうか? つまりビジネスの本質は「新しい悩みを作り出すこと」なのです。言うなれば「ありもしない悩みの捏造」ということです。
「悩みの捏造」なんていう言い方をされたら複雑に思われるかもしれませんが、この点を理解し「相手も気づいていない悩み」を発見することは、相手の常識を覆すために絶対に必要になります。
そして、こういった考え方は営業やマーケティングをする上で必要ということではなく、本来はもっと上流の商品開発の時点で考えるべきことです。技術系が強い会社によくみられることですが、商品をつくってから誰に売ろうか考えるというのでは順番が逆ということです。
顧客はどんな悩みを持っており、それを解決するにはなぜ既存の他社商品ではなく、うちの商品でないと駄目なのか。この言語化がピシッと決まると商売は驚くほど楽になります。
皆さんの事業は誰のどんな悩みを解決するものなのか、その言語化はできていますか? そして相手の常識を崩すストーリーを伝えられていますか?
顧客に伝える「言葉」を磨き続けていきましょう。