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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第264話:社員の行動を変える「セルフイメージ書き換え」の効果

 

設備販売業を営むN社の現状分析をする中で、「営業マンが顧客の経営者や部門のキーマンに会えていない」という問題が出てきました。

同様の問題を抱えている企業も多いことでしょう。営業は普段からよく会っている担当者には気に入られているが、大きな購買権限を持っている経営層には会うことができずに大きなビジネスをものにすることができない状態。

これを改善しようと「ちゃんとキーマンにアポを取って提案営業をしよう!」と発破をかけてもそう簡単には現状は変わりません。かといって、そういった営業マンの能力が低いわけでもサボっているわけでもないのです。これは「セルフイメージ」の書き換えの問題です。

セルフイメージとは「自分はどのような人間と思っているか」ということですが、経営者に営業をかけられない営業マンは、そういった自己イメージを持っていないということです。

これは「経営者を相手にする自信がない」というよりも「ピンとこない」という方が正確です。そういった経験の蓄積がないために、自分がそのような行動をやるイメージが湧かないということです。

ではどうすれば社員のセルフイメージを書き換えることができるのか?ということですが、これは実は「最初が肝心」で、上記の例だと「最初から経営層にしか会わせない」というのが一番いいのです。

たとえば私の例になりますが、私は大学を出たあと商社に入社しました。最初は当然上司について回って営業同行するのですが、その上司が会いに行くのは中小企業のオーナー社長ばかりでした。上司が社長に会っていろんなビジネスを提案する場面を見続けたわけです。

そうなると自然に私も「営業とは社長に何かを提案すること」という理解になります。他のパターンを体験していませんから当然の結果です。「うちの会社では営業は経営者に会うのが普通」というのが自分の中での常識になるということです。

上記は理想ですが、なかなかそうはいかない場合もあると思います。若手社員は顧客の担当者レベルと会っていろいろやってもらわないと困るというケースもあろうかと思います。それでもやはり上司が経営者に会いに行く時にはなるべく若手社員を同行させて「イメージを持たせる」ことが非常に重要になります。

こういった同行は一見無駄のように見えますが、後になって冒頭のN社のような悩みを持つことを考えると非常に効率の良い社員教育となります。

この「セルフイメージ」の重要性は経営において意外と見落とされていますが、この効果は絶大です。私がそう思うようになったある事例があります。

あるオーナー社長がプラスチック製品を販売する自身の会社を3人息子に譲り渡す際に、その会社を商品軸で3社に分割して継がせました。それぞれの会社の規模は概ね10億円前後です。

数十年後、長男と次男の会社は年商を数億円伸ばしました。そして三男の会社はというと年商200億円に達して上場を果たしたのです。

この三男の社長が何をしたか。ここはプラスチックの袋を販売していた会社だったのですが、社長が「うちは単に袋を売る会社じゃない。「包む」ということを軸に顧客の問題を解決する会社だ」との方針を打ち出されたのです。

そして、顧客のDM発送を請け負ったり、顧客の商品の自動包装を請け負ったり、包装材を提案して顧客の商品の価値を高めたり…。物売りではなくソリューション提供を事業の軸とされました。

それと同時にその社長が徹底されたのが、社員のセルフイメージの書き換えです。「うちは物売りじゃないんだから、顧客に対してヘコヘコしなくていい。対等の立場で堂々と解決策を提案しよう。卑屈になるな」と社員に繰り返し伝えたのです。

この会社が上場するまでに成長された要因はさまざまあると思いますが、私はこの社員のセルフイメージの書き換えが非常に大きかったと考えています。

「思考は現実化する」という言葉がありますが、人は自分が持っている自己イメージに合った行動を取るものです。そしてその自己イメージは「普段自分の目に入ってくる景色」によって作られていきます。

経営者がビジョンを語る必要性はここからきています。たとえ今はそうなっていなくても将来必ずそうなるという未来の自己イメージを社員に刷り込むことが必要ということです。

もちろん、語るだけではなくトップ自らがそのビジョンに向かって行動している姿勢を見せることが非常に重要です。「もうそうなることは当たり前」というマインドで行動を見せ続けることによって、社員の意識も必ず変わってきます。

さあ、まもなく新しい年を迎えます。御社はどのようなビジョンを持ち、どう自己イメージを書き換えていきますか?

2023年が皆さまにとって素晴らしい一年になることを祈念しております。