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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第276話:「儲けたい!」という気持ちだけで経営をやってはいけないのか?

 

「前回のコラムで「欲を断ち切れ!」って書いてありましたけど、難しいですよねえ(苦笑)」と長いお付き合いの社長からメッセージをいただきました。

一応注釈しておきますと、断ち切るべきは「行き過ぎた欲」であって、経営者は苦行僧のように修行して欲を断ち切るべし!という話ではもちろんありません。

むしろ「もっと儲けたい!」とか「もっと会社を大きくしたい!」という欲求は、資本主義社会でビジネスをやっている以上あって然るべきものです。「もうこれぐらいでいいや…」という現状維持の思考が通らない社会システムですので。

また、成長意欲や上昇志向を持たない経営者には社員がついてこないのではないでしょうか。「会社をもっとよくしたい!」「新しいことに挑戦したい!」── そのような前向きな気持ちを持って動いている社長はなんとも魅力的です。たとえそれが「もっと儲けたい!」という「欲」丸出しの気持ちがベースにあっても私は全然いいと思います。人間ですから。

では、標題のとおり「儲けたい!」という気持ちだけで経営をやっていいのか?というと、やはりそれではうまくいかないでしょう。

なぜかというと、経営とは「人を通じてことを成す」ことだからです。

つまり、社員に気持ちよく動いてもらう必要があるわけで、そこが経営の奥深さといいますか、単なる投資ゲームとは異なるところです。

そして、社員に動いてもらうためには、経営者が「儲けたい!」と思っているだけではバランスを欠くということですね。

では他にどのような想いや考えを持つ必要があるかというと、まずひとつは「社員に報いる気持ち」です。会社が潤ったなら社員にもいい思いをさせるということです。

これはなにも社長に「いい人」になってほしくて言っているのではなく、そうすれば社員はまた会社に報いてくれるからです。つまり、会社に利益が出たならば「投資」として社員にも報いてやることで、彼らはまたがんばって将来の利益をもたらしてくれます。

特に採用コストが跳ね上がっているいま、優秀な社員を失うことは会社にとって大きな痛手となりますので、この考えは合理的に考えてマストとなります。

ただし、人を動かすのに「お金」だけでは難しいです。なぜなら、人は「慣れる」生き物だからです。報酬をアップしてやっても喜んでくれるのは最初だけで、やがてその金額が当人にとって「当たり前」となります。ですから、社員を動かすためには社長のさらなる想いが必要となります。

それはなにかというと、「社長が自社の事業に意義を感じること」です。別の言い方をすれば「社長が自社事業に惚れ込んでいるか」が非常に重要となります。

経営トップである社長が「うちはいいことやってるなあ」としみじみ思えるかどうか。逆に「うちがやっていることはどこでもできる…」とか「うちの会社は何の特徴もない…」としか思えないようであれば、おそらく社員も同じ思いでしょうし、やる気も感じないことでしょう。

経営戦略的にも「自社独自の強み」がなければ儲かりませんし、「儲けたい!」と思うのであれば他社との根本的な差別化を図ることは絶対に必要ですが、人は感情で動く生き物ですので、そもそも社長が「これやりたい!」と思える事業をやらないと社員も本気で動いてくれないということです。

うちの事業をもっと面白くするにはどうしたらいいか?

お客様に何を提供すればもっと喜んでくれるか?

社員を巻き込んでこれを考え、答えを見出す。そしてそれを実現するための仕組みを構築して実践すれば、企業は必ず儲かります。そしてその利益を社員に還元すれば持続的に成長していくことができます。

大事なのは「儲けたい!」という気持ちの、その先を考えていくことです。