「特別ビジネス」の構築で利益3倍化を実現

  • TEL : 03-6822-5181
  • 〒103-0022
    東京都中央区日本橋室町1-11-12
    日本橋水野ビル7階

【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第273話:儲からない業界から脱却する方法

大谷選手の報酬総額がメジャー最高額の85億円と発表されていましたが、彼がここまで成功した最大の要因を上げるならば、それは彼の身体的な強さでもなく、野球スキルでもなく、まあまあ男前な顔でもなく、職業として「野球選手」を選んだことです。

もちろんこれは「金銭的な成功」という文脈に限ってのことですが、これが卓球を選んでいたとしたら世界トップでも年棒は1億円程度、バドミントンなら6千万、カーリングなら(アマしかないので)500万円ぐらいでしょうか。

もちろんスキルやセンスや体力がなければ野球選手といえども稼げないわけですが、それらをすべて兼ね備えた大谷選手でも、もし親の勧めで剣道を選んでいたら金銭的な成功は難しかったでしょう。(剣道を否定しているわけではありません笑)

なにが言いたいかというと、ビジネスは「市場(業界)選定が9割」みたいな話だということです。

実際、経営者としてそれほど優秀ではなくても、その業界がグングン伸びていればそれなりの結果は出せるものですし、逆の場合ならいかに優れた経営者でも苦戦を強いられることでしょう。

それを聞いて、「いや、だったらうちの業界ダメじゃん!」と思われた経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが、悲観するのは早いです。というもの、いまの事業の延長線上で業界を鞍替えする方法はあるからです。

たとえば、業績不振の和菓子屋を立て直そうとした場合、SNSマーケティングをやるとか、インスタ映えする商品を開発するとか、有名な旅館や料亭や売り込むといった、あくまで「和菓子小売業」の延長線上で考えてしまいがちですが、そんなのは誰でも思いつく話ですから長期的な強み構築には至らず、市場衰退のトレンドには抗えない可能性が高いです。

ではどうするかというと、「和菓子屋だけど和菓子は売らない」発想で、自分たちがやってきたことを他領域で生かすアプローチを考えることです。

たとえば「空間プロデュース業」をやるとか。

和菓子の世界観というのは「禅」の世界にも通じるような奥深いものです。その世界観を体現した空間づくりは、おそらく普通の建築家やインテリアデザイナーからは出てこない独自のテイストとなることでしょう。

「空間プロデュース業」が飛びすぎていてピンとこないようであれば、たとえば「(高級料亭などの)飲食店に対するアドバイザー業」はどうでしょうか。メニュー開発、各料理の素材選び、盛り付け方、食器のチョイスなど、助言できることは無限にありそうです。

上記はまるっきりの新規事業のように見えますが、実施する当人たちからすると「和菓子づくりとあんまり変わらん」といった認識になるはずです。

現に当社のクライアント企業においても、儲からない業界から脱却して新市場(新業態)に打って出た企業は数多くありますが、彼らは口を揃えて「まあやってることは一緒ですよ」と言います。

「同じことをやっている感覚だけど利益は3倍」みたいな笑いの止まらない世界が実際にゴロゴロあるのが経営の面白いところです。

問題はそういった「隣の芝」に飛び込んでいけるかどうかで、これは方法論の難しさもありますがマインド面においても当人だけではなかなかハードルが高いので、外部人材の力をどんどん借りてチャレンジしていただきたいところです。