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【経営革新コラム】 儲かるキラーサービスをつくる社長の視点 第282話: 社員のやる気や能力のなさを嘆く前に社長がやるべきこと

 

経営者からのご相談でよくあるのが、「うちの社員が変わらない」というものです。いくら厳しく言っても全然ピリッとしないと。

こういった経営者の期待値に社員がまったく応えようとしないというのは中小企業あるあるですが、彼らのやる気や能力のなさを嘆いてもはじまりません。

「人」を変えるのではなく「構造」を変えるということをいつもお伝えしています。構造を変えるとは「戦略」や「仕組み」や「システム」や「文化」といった、人よりも大きなものを整えていくことを指します。

その第一歩といいますか、前提として押さえておくべき非常に大事なことがあります。それが「精神論の排除」です。

もっとやる気を出せ!

管理職としてもっとピリッとしてほしい。

危機感が足りない!

こういった声かけはまったく効果がないばかりか、当人のやる気や社内の雰囲気を悪化させるだけですので控えた方がよいです。

効果がない理由としては当人が以下のいずれかの状態にあることが大半です。

①いま以上に頑張ることのメリットを感じていない
 (=頑張らないことでメリットを得ている)

②具体的に何をすべきかよくわかっていない

③何をすべきかはわかってはいるがやる自信がない

④精神がこじれ切っていて社長の言うことは聞きたくない

どの理由だとしても、当人としてはそれを打破するよりも社長の叱責を聞き流す方が楽と感じているので行動が変わらないんです。

このような場合、「精神論」のかわりにぶつけるべきは徹底した「具体論」です。

たとえば、もっと新規営業をやる必要があるのに営業が動かない場合はこうなります。

精神論:(全営業マンに対し)
「もっと新規をやってくれないと困る!」
「既存顧客ばっかり行ってても意味ないじゃないか!」
「うちの課題は顧客数が少ないってことはわかってるだろう?」

具体論:(管理職に対し)
「新規顧客のターゲット抽出の考え方を木曜の18時までに送って」
「これらのターゲットに誰がどうアプローチするか、方針を考えてエクセルにして」
「毎週各部員と1on1でミーティングして行動を確認して私にメールして」
「各ターゲットへのアプローチ状況をエクセルで見える化して営業会議で説明して」

このように管理職に対して具体的に指示を出すことです。それでも管理職が動かない場合も想定されますが、その場合も感情的になる必要はなく、むしろニッコリ笑いながら、「これぐらいできなかったら降格になっちゃうよ(^^)」と言ってあげましょう。精神論をぶつけるよりよほど怖いはずです。

もちろん社長としてはこんなことは管理職自らが考えてやってほしいところだとは思いますが、そうでない場合は現実を受け入れて、まずは管理職がこうなっていくように具体的に指導していくしかありません。

この場合非常に大事なことは、出した指示については時間も含めてきっちり守らせるということです。締め切りを「木曜の18時」と決めたらのなら必ず守らせる。簡単に「明日でいいよ」と言わない。そのように「具体的な行動を徹底させる」ことでしか会社は変わっていきません。

社員の能力が低いなら、やるべきことを彼らの「手に負えるサイズ」にまで分解してやり、それは必ず守らせる。

まずは管理職にそれを徹底させることで、やがてその管理職も部下に対して同じことをするようになります。そしてそれが会社の文化になっていきます。

時間はかかりますが、精神論をぶつけるよりも確実に行動が生まれ、社内の雰囲気もカラッとしていきますので、「人」の問題でお悩みの経営者はぜひ実践していただきたいアプローチです。